米国発の革新を牽引するのは外国人 〜 ジョブズ氏やゲイツ氏は例外的少数派

 米国は革新を牽引する国だと世界からみなされ、故スティーブ・ジョブズ氏のように大学を中退し自宅車庫でベンチャー企業を立ち上げたカリスマ起業家たちの姿が革新力の源泉だと思われている。

 しかし実際には、米国の革新力を引っ張っているのは、米国に住む外国人技術者や起業家であることが、超党派の政策研究団体である情報技術&革新財団(Information Technology & Innovation Foundation、ワシントンDC拠点)の調査で明らかになった。

 ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた同財団の調査報告書によると、革新的発明に寄与した米国在住の科学者や工学者、技術者らの3分の1以上が米国外生まれだ。米人口に外国人が占める割り合いが13.5%である事実を踏まえると、3分の1以上というのはかなり高い。

 さらに、同団体が900人の特許保有者を調べたところ、外国人発明者の3分の2が博士号を取得していることもわかった。調査対象となった特許保有者全体に占める博士号取得者の割り合いは約50%だった。

 また、発明者らの年齢の中央値は40歳で、ジョブズ氏やビル・ゲイツ氏、マーク・ザッカーバーグ氏といった10代で起業して大成した大学中退者による革新が、わずか一部の例外的な現象であることも浮き彫りにされた。

 今回の調査結果は、外国人技術者の受け入れ枠拡大を議会と政府に働きかけてきた米IT業界にとって追い風だ。

 連邦政府は現在、米国民の雇用促進を支援するために、外国人向け労働査証の発給を厳しくしている。

 調査報告書の著者ロバート・アトキンソン氏は、米国内の技術職需要に応えるだけの科学系および技術系の大卒者が不足しているため、米国の革新力を維持するためには外国人の受け入れを拡大する必要がある、と指摘する。

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