オバマ政権、暗号化データ解読支援法案を支持せず

 法執行機関が電子機器の暗号化データを解読できるよう、IT企業に支援を命じる権限を裁判所に与える法案が近く提出される見込みとなっているが、オバマ政権は支持に消極的であることが分かった。ロイター通信が関係筋の話として伝えた。

 テロ容疑者が所有した「アイフォン」のロック機能解除をめぐり、司法省とメーカーのアップルが対立したことでスマートフォンの暗号化データに関する議論が加熱した。オバマ大統領は3月、法執行機関がデータを見るための方法を持つことは必要という意味の発言を複数回行ったが、この問題に関しては政府内でも意見が大きく分かれているという。

 法案を作成したのは上院のリチャード・バー議員(共和)とダイアン・ファインスタイン議員(民主)。連邦判事に広い権限を与え、IT企業に政府機関を支援するよう命じることを認めるという内容だが、企業が具体的に何をすべきかやどんな状況下で支援を指示できるかといった点には触れておらず、従わなかった場合の罰則もないという。

 IT企業や市民権擁護団体は、「法執行機関がIT商品の中の個人情報を見られるようにすることはすべての個人のセキュリティを低下させる」と主張してこうした法案に反対している。上院のロン・ワイデン議員(民主)など複数の議員も、IT商品の暗号化情報の保護を制限するあらゆる試みに反対する姿勢を表明している。

 また、国家情報機関の関係者の間でも「ハッカーや海外情報機関にも情報入手の道を開き、問題を解決するというより新たな問題を作り出すことになる」と懸念する向きがある。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  2. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  3. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  4. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
  5. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  7. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る