米環境助成金を雇用対策に運用〜LG化学、オバマ政権に打撃

 電気自動車(EV)用電池を製造する韓国のLG化学が、EV開発を目的にオバマ政権から助成を受けたにもかかわらず、現地生産を拡大しなかったばかりか、生産活動に従事しない労働者への補償に充てていたことが、米政府の調査で明らかになった。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、LG化学のミシガン州ホランド工場は、GMのプラグインハイブリッド車(PHV)「シボレー・ボルト」などに電池セルを製造するため、助成の半分を活用して約440人を雇用した。しかし、電池の需要が当初の期待を下回ったのを受け、LG化学は韓国産の電池で注文を満たし、ミシガン工場をほぼ稼動停止状態にしたという。

 LG化学は声明で、ミシガン工場での生産の遅れは「市場主導」としたうえで、「生産開始の具体的な計画を吟味している」と説明した。

 同社はさらに、助成の条件下で「認められていない雇用コスト」に対する弁済に活用したことを後悔しているとした。

 エネルギー省の監査官であるグレゴリー・フリードマン氏によると、LGは2012年第3四半期、操業が停止されている工場で労働者のレイオフを回避するため、計160万ドルを支払い、その約半分に助成金が活用された。労働者は生産現場で働くこともなく、勤務時間中にゲームや映画鑑賞に興じたり、ボランディアで動物保護施設へ出向いていたという。

 LGは調査を受け、活用した助成分を政府に弁済したという。

 政府の助成をめぐっては、EV用リチウムイオン電池メーカーのA123システムズが約2億5000万ドルを受けながら、10月に経営破綻に追い込まれ、資産を中国の自動車部品企業に売却した。

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