モバイル・バンキング、急速に拡大

 近年は若い層を中心に日常の用事を全てスマートフォンですませる人が増えている。銀行もそういった消費者行動を受けて、残高確認や支店場所情報だけでなく、小切手の入金や口座間送金といったサービスをスマートフォン向けに次々と増やしている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、テキサスの地域銀行ファースト・ファイナンシャル・バンクは、スマートフォンで入金票の写真を撮影することで支払いできる携帯決済サービスを2013年1月から開始。また、米銀行5位のUSバンコープも2013年3月から同様のサービスを提供する。

 ファースト・ファイナンシャルでは、同サービスの開始から24時間以内に、活発なモバイル・サービス利用者の53%が、同機能に対応した新たなアプリケーションに更新したと発表。

 同社のF・スコット・デューサー最高経営責任者(CEO)は、「最終的にはスマートフォンを使ってクレジット・カードや住宅ローンを扱えるようにしたい」と話す。

 銀行は最近、金利低下やローン需要低迷を受け、利益率も伸び悩むなか、顧客を引きつける新しい方法として、各種のサービスをスマートフォンに対応させている。

 銀行が出しているモバイル・アプリケーションは一般的に無料。それによって顧客を維持し、最終的にはクレジット・カードや住宅ローン、資産管理サービスをスマートフォン経由で売り込みたいと考えている。

 米銀行業界では2012年に差し引き1100軒以上の支店が閉鎖されており、事業環境は悪化している。

 銀行が処理した取引全体に占める手段別の割合は、オンライン・バンキングが53%、支店が14%、そしてモバイル・バンキングが8%、残りはAMTだった。そのなかで、モバイル・バンキングが最速の成長分野だ。

 2009年からモバイル・バンキングを提供しているJPモルガン・チェイスでは、現在1300万人が同社のモバイル・アプリケーションを使っている。モバイル・アプリケーションは「今では支店運営や電話受付センター、インターネットに並ぶ中核サービスになっている」とJPモルガン・チェイスは述べた。

 スマートフォンによる小切手入金サービスを2012年8月に開始したバンク・オブ・アメリカでは、1日に10万枚以上の小切手がスマートフォン経由で入金される。

 また、USバンコープでは、大手では珍しく同様のサービスに50セントを課金しているが、「近くのATMや支店に出向く代わりに、利用者らは喜んで50セントを払ってモバイル入金を利用している」と話す。

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