港の混雑が東海岸まで広がっており、米国第4の貿易港であるジョージア州サバンナ港では現在、コンテナ船20隻以上が沖で入港を待っている状態だ。
■不測の事態
ウォールストリート・ジャーナルによると、サバンナ港では9月下旬、入港を待つ20~26隻の船が大西洋でアイドリングを続けていたのに対し、ドックでは内陸向けの貨物を待つコンテナが長期間積まれたままになっていた。通常、東海岸の港は西海岸ほど混雑しないが、南東部と中西部に向かう商品の玄関口であるサバンナ港では、年末商戦を前に在庫の補充を急ぐ小売業者が注文した荷物であふれ、内陸の集積所まで運ぶトラックが積み切れないこともある。
港を管理するジョージア港湾局のグリフ・リンチ事務局長は「仕事は忙しく、eコマースは好調だ。サプライチェーンはジャストインタイム(時間ちょうど)からジャストインケース(不測の事態)へと(重点が)移行しており、私たちの環境を大きく変えている。輸入貨物の急増で、船からドック、倉庫、サプライチェーン全体へと向かう荷物の流れに渋滞が起きている」と話す。この渋滞によって、2021年は世界中で電子機器から製造部品までさまざまな商品の流れが急に遅くなり、輸送コストを上昇させ、定期的な品不足を引き起こしている。
サバンナでは、21年1~8月の輸入量が前年同期比30.1%増のコンテナ180万個分超に上り、港の内外で輸送を待つコンテナの「滞留時間」は通常の平均4~5日から一時は12日に延びた。9月最終週は9.2日だった。
■専用シャーシが不足
コンテナ輸送の遅れを悪化させている要因の1つとして、トラックがコンテナを積んでけん引するために必要な専用シャーシ(車輪付き台車、トレーラー)の不足が挙げられる。サバンナは他の南東部の港とシャーシを共有しているが、その多くは混雑する倉庫や内陸の積み替え拠点にとどまっているため、ドックでは不足し、コンテナを運べなくなっている。港では、保管スペースができるまで内陸向けのコンテナを船から降ろせないため、船も待たなくてはならない。
ジョージア州の港湾当局は最近、3400万ドルを投じてサバンナのコンテナ保管容量の拡張計画を承認して対応に乗り出した。12月にはコンテナの収容スペースを160万個分拡大する予定だ。
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)によると、米国の港では通常、南カリフォルニアを除き船が沖合で待機する例は少ないが、米国の海上輸入の3分の1以上を引き受けている南カリフォルニアのロサンゼルスとロングビーチ港の大混雑がサプライチェーンに甚大な影響を与えている。
南カリフォルニア・マリン・エクスチェンジによると、9月のLA/LB港へのコンテナ船入港待ちは最大73隻に達し、最終週も66隻に上った。これに対し東海岸最大の貿易港ニューヨーク/ニュージャージー港では、9月28日時点で沖に7隻のコンテナ船が停泊していたが、すべて48時間以内に入港する見通しで、21年のコンテナ船の平均入港待ち時間は1.3日にとどまっている。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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