IBM、ワトソンをサービスとして提供か
- 2013年3月15日
- ハイテク情報
IBMは、質問応答を可能にした高性能コンピュータ・システム「ワトソン(Watson)」の技術を全製品種に導入する手段の一つとして、クラウド経由サービスとしての提供を検討している。
業界専門家の一部では、「エクサーズ(XaaS)」の一種として「ワース(WaaS=Watson as a Serive)」の登場か、とはやし立てる動きもある。
エクサーズとは、サース(SaaS)やアイアース(IaaS)、パース(PaaS)、ダース(DaaS)というように、従来なら実装型システムとして提供されていた資源をクラウド電算によってサービスとしてオンライン提供する業態の総称(Xの部分に、その機能の頭文字を入れる)。
ワトソンは、自然言語で書かれた膨大な情報を分析し、最も適した解答を短時間で導き出す分析電算システム。2011年には、米国の人気クイズ番組「ジェパディ!(Jeopardy!)」に参戦し、人間のチャンピオンを破ったことで一躍有名になった。
データ・センター・ノーレッジ誌によると、ワトソンはこれまで特定業務に限定的に商用化されており、たとえば2011年秋に、ワトソン技術に基づく医療サービス用アプリケーションの開発でIBMとウェルポイントが合意した例がある。
1年前には、シティグループ(Citigroup)がポートフォリオとクライアント・リスクについて助言を得るためにワトソンを「雇用」した。
ワトソンはクラウド基盤サービスとして提供され、シティグループがワトソン利用によって得る追加収入や経費削減額に対し、IBMがワトソンの「人件費」として一定の報酬を得る。
2012年初めには、IBMがワトソンをレンセラー工科大学に寄付。同大学は大規模データ(Big Data)やデータ分析、そして認知電算関連の研究開発にワトソンを利用している。
最近では、南カリフォルニア大学(USC)の学生を対象に、事業や社会問題解決のためにワトソンを利用する事業計画を競う「IBMワトソン・アカデミック・ケース・コンペティション(IBM Watson Academic Case Competition)」が開催された。
同大会で1位に選ばれた応用案は、弁護士の仕事を軽減するために膨大な量の情報やデータを分析する調査や捜査から重要な事実を発見するというもの。2位は従業員訓練への応用、3位は心的外傷後ストレス障害(PTSD)患者の発見を支援する医師用の応用例だった。
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