オープンPR誌によると、ヒューマノイド・ロボットの世界市場は、2023年に18億ドル規模と推定され、年平均成長率50.2%で成長し、2028年には138億ドルに達すると予想される、と調査会社マーケッツアンドマーケッツは報告した。
▽広範の業界での導入加速が予想される
ヒューマノイド・ロボットの世界市場は、検知器や動作変換装置、電源、制御システムといったハードウェアとソフトウェアに大別され、おもな用途(応用)としては、教育や医療、宿泊サービス、小売、娯楽を含むさまざまの業界が想定される、とマーケッツアンドマーケッツは最近発表した調査報告書で明示した。
マーケッツアンドマーケッツは、50%以上という驚異的な成長率の原動力として、技術の進歩と労働力不足、人口の高齢化、教育機関や小売業界での導入増という4つを挙げている。
▽教育や小売、スマート住宅、物流センターでも試験運用
同社によると、人工知能やロボティクスにおける絶え間ない技術革新によって、ヒューマノイドの能力と機能が強化され、より効率的で汎用性の高い性能が実現している。また、特に医療や接客業における労働力不足は慢性化しているため、ヒューマノイド導入をあと押しする動きが強まっている。
そのほか、多くの先進国では高齢者人口が増加しているため、医療や介護といった市場でヒューマノイド需要が今後さらに高まることが確実視される。さらに、 教育機関や小売業界では、学習体験の充実や顧客サービスの向上を目的にヒューマノイドの試験運用がすでに進みつつある。
それに加えて、たとえば、スマート住宅(住宅機能自動化や住宅警備の向上)や協働ロボット(作業員たちと一緒に働く能力)という市場機会の拡大も期待される。後者の場合、物流センターや自動車製造工場の一部ですでに試験運用されている。
▽人型による利点と人工知能がもたらす利点
ヒューマノイドは、機械腕に代表される従来の特定目的型固定ロボットとは異なり、人の動作と似た四肢の可動域をそなえることから汎用性が高く、同じ空間で一緒に動いても周囲の作業員たちに危険がないよう制御できる。
ヒューマノイドは、対応可能の動作を人工知能によって学習できるため、さまざまの動作を可能にし、また、事前のプログラムを必要とせず、学習にもとづいて自律稼働できるよう訓練することも可能という利点もある。難点の一つは、動作速度の遅さだが、それも現在、急速に改善されつつある。
▽課題は高コストと技術的限界
マーケッツアンドマーケッツは、ヒューマノイド普及に関する最大の課題として、開発と導入に多額の費用がかかることを指摘する。
そのほかのおもな課題には、技術的限界(たとえば電池寿命や移動能力)や規制上の懸念(ヒューマノイドの使用に関する標準的な規制や安全指針の不備)がある。
ヒューマノイド市場を開拓するおもな大手としては、ソフトバンク・ロボティクスや本田、トヨタ自動車、UBテック・ロボティクス(Ubtech Robotics)、ハンソン・ロボティクス(Hanson Robotics)、ボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)、ユニティー・ロボティクス(Unity Robotics)、アジリティー・ロボティクス(AgilityRobotics)が挙げられる。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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