EVを所有する人のうち、米国では46%、世界では29%が「次は内燃エンジン車(ICE)に戻る可能性が高い」と考えていることが、コンサルティング大手マッキンゼーの最新調査で明らかになった。
◇障害は充電の不安
オートモーティブ・ニュースによると、最大の懸念は、EV充電の公共インフラが不十分という点でだった。マッキンゼーのフューチャー・モビリティ・センター代表フィリップ・カンプショフ氏は「予想外の結果だ。いったんEVを買えばEVを買い続けると思っていた」と話した。
調査は2年に1度行われ、今回は世界15カ国で3万人以上の消費者に約200項目の質問をした。
明らかになった米消費者の意識は、連邦政府が支援する充電ネットワークの構築が遅れていることと密接に関係している。22年の国家EVインフラ整備(NEVI)プログラム立ち上げ以来、使えるようになった充電施設はわずか8カ所で、50億ドルの連邦プログラムを通じた融資を始めた州は23州にとどまる。
既存の充電ステーションに関しては、公共・専用いずれも見つけにくいという問題がある。内燃エンジン車なら、州間道路の出口付近にガソリンスタンドがあるが、EVの充電施設の多くは目立たない場所にある。問題は米国にとどまらず、公共の充電設備がニーズを十分満たしていると感じている人は、世界回答者のうちわずか9%だった。次世代のEV購入者は現在よりも公共充電設備への依存度が高まる(カンプショフ氏)ため、この問題はさらに重要になりそうだ。
◇EVへの関心は微増
調査では、世界回答者の21%が「EVには絶対に乗り換えたくない」と答え、うち33%は充電に関する不安を理由に挙げた。充電不安は、航続距離への期待の高まりを背景に悪化している。マッキンゼーによると、消費者が期待する最低航続距離は22年の270マイルから現在は291.4マイルに延びているが、市場に出ている製品の航続距離はこれほど急速には延びていない。
一方で、全体としては消費者の電動車購入に対する意欲が2年前よりやや高まっており、EVを所有していない人のうち「次はPHVか完全電動車にする」と答えた割合は、22年の37%から38%へと上昇した。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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