人工知能を使った調べものでは学習効果が下がる 〜 ウォートン・スクール、最新の研究調査の結果を報告

チャットGPTやほかの大規模言語モデル群(large language models=LLMs)にもとづく生成人工知能ツール群が情報取得を容易にする一方で、利用者らの学習効果を下げる可能性があることが、最近の研究で報告された。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ペンシルベニア大学ウォートン・スクール(経営大学院)が4500人以上を対象に実施した研究調査では、LLMsを日常的に使ってさまざまの主題について調べる人は、従来型のグーグル検索で同じ主題を調べる人にくらべて、それに関する理解度が低く、自分なりの洞察もあまり持たないという結果が出た。

同研究では、被験者らにグーグル検索とLLMsを無作為に割り当て、一般的な主題について調べたうえで、学んだことにもとづいて助言を書くよう指示した。最初の実験では、1100人以上がグーグルまたはチャットGPTを使って、菜園の植え方について調べた。グーグル検索を使った人たちは、より多くの時間を検索にかけ、長文で詳細な助言を書く傾向にあった。被験者らの回答を自然言語分析にかけたところ、独自の表現を使い、事実を参照する確率が高かった。

二つ目の実験では、2000人近い被験者を二つの群に分け、同じ菜園についての主題について、一方の群には人工知能が要約したかのような情報を見せ、もう一方の群には6つのウェブ・ページを見せた。その結果、後者のほうが学習が深く、情報をよく記憶していたうえ、思慮深い独創的な助言を書く明らかな傾向が確認された。

研究者らは、同じ実験をさらに2回実施し、同様の結果を得た。ウォートン・スクールで販促学を教えるシリ・メルマド教授は、その研究調査の結果について、人々の学習効果についての懸念を提起するものだ、と指摘した。

かたや、カーネギー・メロン大学で心理学を教えるダニエル・オッペンハイマー教授は、ウォートン・スクールの研究結果がこれまでに行われた類似研究の結果と重なると話した。オッペンハイマー教授によると、人工知能ツールを使って課題を完成させる被験者の学生らは、課題をうまく完成させるものの、試験になると点数が悪いという傾向を示した。「正しい答えを得ているが、学習していない」と同教授は話している。

どちらの教授も、人工知能ツール群の使用を否定することを提案していないが、多用することの弊害を理解することの重要性を訴えている。「若い人たちは、LLMsを最初に使って調べるようになっている。しかし、さまざまの情報を統合して解釈する方法を教えなければ、深く学習する能力を下げるというリスクがある」とメルマド教授は述べた。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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