史上最悪級、PHPの脆弱性を悪用した攻撃の影響と対処法 〜 人工知能によって深刻化するサイバーセキュリティー危機

世界のウェブサイトの最大70%で使われている技術「PHP」の開発者らは10月21日、PHP関連の脆弱性が悪用されることでウェブサイトの乗っ取りやデータ流出の危険性が高まっていると警鐘を鳴らした。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、その背景には人工知能の悪用があり、同問題は史上最悪級のサイバーセキュリティー問題になりつつある。

▽深く広く浸透しているPHP

PHPは、30年以上前につくられたプログラミング言語だ。かつては、ウェブサイト上のほぼあらゆる場所で裏側(基幹設備側)のサーバーからデータを取り出して動的なウェブ・ページを構築するために使われていた。利用者の操作に応じて情報を処理したり、画面に表示する内容を変えたりするためのプログラミング言語として重宝された。かつてほどの人気はないが、現在でも非常に広く使われている。

PHPには長い歴史があることから、各社の社内電算基盤全体の奥深くに組み込まれており、使っていることに気づいていない会社も少なくない。一部の推計では、ウェブサイトの最大70%がPHPを使っている。PHPは、政府機関のウェブサイトや小規模事業者に人気がある。ワードプレス(WordPress)やウィキペディア(Wikipedia)といった主要サイトにも使われている。

▽攻撃開始から数秒で乗っ取られる可能性

セキュリティー研究者らは2026年8月に、ハッカーらが悪意ある一連の要求(要請)を送ることで、PHPを稼働させているサーバーが攻撃者らに乗っ取られる脆弱性を発見し、その脆弱性が悪用されることを実証した。研究者らは、PHP内部のメモリー処理の欠陥を人工知能によって特定した。

セキュリティー研究者らによると、小規模のPHPサーバーであれば、数十件の要求を送るだけで、数秒のうちに乗っ取ることができた。その結果、ハッカーらがウェブサイトを乗っ取ってデータを盗んだり、サイト訪問者をハックしようとする悪意あるソフトウェアを仕込んだりできる恐れが深刻化している。

PHPの脆弱性を悪用して攻撃を展開している容疑者らはまだ特定されていない。

▽ウェブサイトをみずから遮断する会社があいつぐ

パッチ(修正プログラム)は10月21日に公開され、世界中で全システムへの適用を急ぐ動きが広がっている。同日には、ハックされる危険を冒すより、ウェブサイトを単に閉鎖することを選んだサイト運営者らが続出した。

画像掲示板のフォーチャン(4chan)は、ハッキングを恐れて投稿受け付け機能を停止した。オランダとベルギーの政府のウェブサイト管理者らはウェブサイト機能を単純に停止した。

米国家安全保障局(NSA)と連邦捜査局(FBI)は警告を出し、「それらのリスクは、米政府の各省庁および機関においてパッチをただちに適用する必要があるほど深刻だ」とNSAは発表した。

▽人工知能が攻撃の難易度を下げる

今回のPHPセキュリティー懸念が世界規模で注視される要因は、人工知能にある。人工知能ツールがハッキングに悪用されて非常に高い能力を発揮するようになって以降、今回のような事態(長年にわたって見つからなかったたPHPの重大な脆弱性を攻撃可能のかたちにし、各種のシステムにログインすることなくサーバーを乗っ取れること)が起きたのは初めてだ。

ハッカーらは、人工知能ツール群を使ってPHPの脆弱性を悪用する方法をすでに発見したと主張している。同問題の技術的詳細がパッチ公開前に流出し、悪意あるハッカーらがその詳細を得る結果となったことが事態の深刻化につながったと指摘される。

ハッカーらはさらに、脆弱なサーバーを探し出すのにも人工知能を使っている。脆弱性の悪用方法と脆弱なサーバーの発掘に人工知能を使うことで、欠陥発見から攻撃手法の開発、そして実行までの技術的障壁と時間が大幅に削減された。

▽パッチに加えて実施できる5つの対策

世界中の会社や団体、組織らがすぐに実行できる対策としては、パッチの実装がもっとも効果的で手っ取り早いが、パッチの補助策として下記5つの追加対策も考えられる。

1)攻撃の遮断:悪意ある通信をウェブ・アプリケーション・ファイヤーウォール(WAF)で検知して遮断2)サーバーの隔離:サーバーへの外部からの接続を制限、またはサーバー自体を一時停止3)攻撃の痕跡を調べる:通信記録やシステムログを分析し、不正侵入や裏とびらの有無を調査し排除4)被害の局限化:PHPの実行権限を最小限にし、重要なデータベースや社内接続網へのアクセスを制限する5)一時的な設定変更:PHPのファイル・アップロード関連機能といった各種機能を制限し、特定の攻撃経路をふさぐ

攻撃がすでに成功している場合、パッチの実装だけでは侵入の痕跡や埋め込まれた裏とびらを除去できないため、攻撃の遮断やサーバーの隔離は特に重要な補助対策となる。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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