ニューヨーク市、電子商取引の都に 〜多数の新興企業が地の利を活用

 米ハイテク業界の都と言えば、今も昔もシリコン・バレーだが、昨今、電子商取引の分野においてニューヨーク市の台頭が著しい。

 マンハッタンのフラット・アイアン地区およびその周辺は、インターネット事業を手がける新興企業が密集することからシリコン・アレーと呼ばれている。また、デジタル音楽を提供するシリウスXMラジオ、クレジット・カードのマスターカード、電子商取引の支援サービスを提供するドットコム・ディストリビューション(Dotcom Distribution)など、電子商取引の発展に利害関係を持つ企業もたくさんある。

 地元行政も電子商取引の発展を後押ししている。ニューヨーク市および経済開発公社は2012年に、電子商取引の新興企業を支援する大会を開催し、130社以上の応募企業のなかから11社の受賞企業を選出し、支援策を提供している。

 インベスターズ・ビジネス・デイリーによると、その一社に選ばれたアハライフ(AHAlife)は、ファッション・デザイナーのダナ・キャラン氏や有名シェフのダニエル・ブルー氏と提携して、それらブランドの商品をオンラインで販売している。

 設立者のショーナ・メイ氏は、「ニューヨークにいることは、とても有利だ。マスターカードのような伝統的な優良企業に囲まれている」と話す。アハライフは昨年、雑誌『Dwell』の広告プロジェクトでマスターカードと協力した。また、商品流通にはドットコム・ディストリビューターのサービスを利用している。

 ドットコム・ディストリビューターの顧客には、アハライフのほか、化粧品を扱うバーチボックス(Birchbox)、アパレル販売のナスティ・ギャル(Nasty Gal)、スパやサロンの予約サービスを提供するスタイルシート(StyleSeat)がある。

 「(グーグル傘下の)インターネット広告会社ダブルクリックはニューヨークの会社だ。大手IT企業はすべて、ニューヨークに事業拠点を持っている」と、ドットコム・ディストリビューターのマリア・ハガーティ社長は話す。

 調査会社コムスコアでは、2012年のオンライン売上高が1860億ドルに達したと見積もっている。その大半はデジタル・コンテントの売り上げだが、アパレルや家電といったコンテント以外の商品も420億ドルを占め、ニューヨーク拠点の新興企業の貢献も大きい。

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