アドビ、テレビ番組配信プラットフォームを製品化〜ケーブル会社に一撃

 ラスベガスで今週開催されている全米放送協会(National Association of Broadcasters)の見本市で、アドビ・システムズ(Adobe Systems)は、動画配信プラットフォーム「アドビ・プライムタイム(Adobe Primetime)」の製品版を発表した。

 インベスターズ・ビジネス・デイリーによると、これまで長期間にわたって試験板として提供されてきたアドビ・プライムタイムは、テレビ番組をタブレットやスマートフォン向けに変換すると同時に、広告や版権管理、視聴者分析といった機能を組み込むことも可能。

 一方、ケーブル・テレビや衛星テレビのサービス加入者をサービス会社が認証して様々な機器でテレビ番組を視聴できるようにする「TVエブリウェア(TV Everywhere)」は、4年前に米2大ケーブル・テレビ会社のコムキャストとタイム・ワーナーが導入している。

 ただ、TVエブリウェアについては、「見られる番組よりも見られない番組のほうが多いのが実情」と、調査会社ディフュージョン・グループ(Diffusion Group)のビル・ニーマイヤー氏は話す。

 技術的な問題はまったくないが、「放映権の金額をめぐる契約合意にあまりにも時間がかかりすぎている」とニーマイヤー氏は指摘する。

 アドビの動画サービス事業担当副社長ジェレミー・ヘルファンド氏は、アドビ・プライムタイムについて「放映番組や連続シリーズを様々な機器向けにシームレスに配信できるようにするビデオ・プレイヤー」と説明している。

 また、TVエブリウェアが抱えている「真の課題を克服して、事業を構築する」のに役立つと同氏は話す。たとえば、動画配信の開始時に自動的に広告を流すよりも、視聴者が求める別の選択肢を探すことも視野に入れている。

 プライムタイムは、これまでコムキャストのウェブサイト「エクスフィニティ(Xfinity)」の一部で使われてきた。また、NBCスポーツ・グループは、五輪大会の期間中にプライムタイムを試しに使い、その後もスポーツ中継に利用している。

 アドビでは、動画配信事業に関してアカマイ(Akamai)やアマゾン・ウェブ・サービシズ(AWS)、シスコ・システムズと提携を結んでいる。

 「放送業界は明らかに、コンテントを様々な機器に配信して金銭価値を生む必要性に迫られている」「それに対してアドビは包括的なソリューションをもたらした」とIDCのメリッサ・ウェブスター氏は述べた。

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