連邦大陪審、中国企業を起訴〜風力タービンめぐる知的財産問題で

 ウィスコンシン州西部の連邦大陪審は27日、中国の風力発電用タービン製造大手シノベル・ウィンド・グループ(Sinovel Wind Group)と同社幹部2人を、米企業に対する企業秘密の窃盗、著作権侵害、有線通信不正行為などの罪で起訴した。ウォールストリート・ジャーナルが伝えた。

 起訴状によると、シノベルはマサチューセッツ州のエンジニアリング会社AMSCが風力タービンの電流制御で使うソフトウェアのソースコードを盗み、このコードを不正使用したタービン4基を米国の顧客に出荷した。同社はAMSCの社員だったデヤン・カラバセビッチ氏に、退社してシノベルにソフトのソースコードを提供するよう持ちかけ、170万ドルの報酬を提示した。

 起訴されたシノベル幹部は、スー・リーインとザオ・ハイチュンの両被告。カラバセビッチ氏も起訴されたが、現在はオーストリアに滞在中。氏の弁護士によると、過去に同国で有罪判決を受けているため、同じ罪で再度裁判にかけられる「二重の危険」を禁じる法原則によって米国で罪に問われることはないという。

 シノベルはAMSCの最大顧客だったが、2011年に突然AMSC製品の受け取りを停止した。AMSCは同じソフトウェア窃盗に関して中国でもシノベルを相手に4件の民事訴訟を起こしている。AMSCのダニエル・マガハン最高経営責任者(CEO)は、今回の刑事事件での起訴を歓迎しながら「中国当局にはまだ訴追の動きがない。それは中国では外国企業の権利が保護されないという証拠だ。この裁判を、知的財産権問題を扱う時の事例にしてほしい」と話している。

 ジョン・ケリー国務長官も、マサチューセッツ選出の上院議員だった昨年、この問題について「白昼強盗であり、中国が法の支配を尊重するかどうかの判断材料になる」と話した。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
STS Career

注目の記事

  1. 2025年10月8日

    美しく生きる
    菊の花 ノートルダム清心学園元理事長である渡辺和子さんの言葉に、「どんな場所でも、美しく生...
  2. 2025年10月6日

    Japanese Sake
    日本の「伝統的酒造り」とは 2024年12月、ユネスコ政府間委員会第19回会合で、日...
  3. アメリカの医療・保険制度 アメリカの医療・保険制度は日本と大きく異なり、制度...
  4. 2025年6月4日

    ユーチューバー
    飛行機から見下ろしたテムズ川 誰でもギルティプレジャーがあるだろう。何か難しいこと、面倒なこ...
  5.        ジャズとグルメの町 ニューオーリンズ ルイジアナ州 ...
  6. 環境編 子どもが生きいきと暮らす海外生活のために 両親の海外駐在に伴って日本...
  7. 2025年2月8日

    旅先の美術館
    Norton Museum of Art / West Palm Beach フロリダはウエ...
  8. 約6億年も昔の生物たちの姿が鮮明に残るミステイクン・ポイントは、世界中の研究者から注目を集めている...
ページ上部へ戻る