サムスン、世界初の湾曲状スマートフォンを発表 〜 有用性に懐疑論も

 韓国サムスン電子(Samsung Electronics)は8日、世界初となる湾曲型スマートフォン「ギャラクシー・ラウンド(Galaxy Round)」を発表した。

 サムスンが他社に先行する柔軟型ディスプレイは、消費者電子機器製造業界において次なるディスプレイ技術として位置づけられている。

 柔軟型ディスプレイはこれまで技術見本市で紹介されてきたが、サムスンとLGによる一部の高位テレビ機種を除けば、同ディスプレイ技術が実用化されたスマートフォンは存在しなかった。

 Cネットによると、同スマートフォンはギャラクシー(Galaxy)S3とS4に酷似する機種だが、まんなかが縦軸に沿って湾曲にくぼんでいる。

 筐体自体は固体であり、したがって、筐体が自在に変形するわけではないが、曲げられるディスプレイによって湾曲した形状が可能となった。

 ギャラクシー・ラウンドは、1080pの5.7インチ型曲面ディスプレイを搭載し、厚さ7.9ミリメートル、重さ154グラム、OSはアンドロイド(Android)4.3、ラム(RAM)は3GB、プロセッサーは2.3GHzのクアッドコア、内蔵カメラは13メガピクセルと、かなりの高位機種と言える。

 価格や発売時期は明らかにされていない。

 米ハイテク製品報道陣のなかには、湾曲状のスマートフォンは本当に必要なのか、という懐疑論もある。ビジネスウィーク誌では、持ち心地の良さや、操作のための揺さぶりが簡単という見方もあることを紹介しているが、真の狙いは、他社にできないことを実現させる差別化ではないか、と論じている。

 ほぼすべてのスマートフォンは長方形の板状で、見た目にはほとんど変わらない。しかも、スマートフォンは次第に消耗品化しており、価格競争の激化も始まっている。付加価値をつけるために残された際立つ機能も皆無だ。

 そこでサムスンは、独自に開発した柔軟型のAMOLED(active-matrix organic light-emitting diode)ディスプレイをスマートフォンに搭載することで湾曲状にし、他社にできないことを可能にする先進性と技術力を誇示することを狙った、とビジネスウィークの記事は報じた。

 ビジネスウィークのほかにも、CネットやNBCニュース、ギーク誌も、ギャラクシー・ラウンドの湾曲形状に関する有効性を疑問視する記事を掲載している。

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