温暖化対策への投資は頭打ち?〜12年は減少、一時的との見方も

 地球温暖化対策への世界投資額が2012年は前年をわずかに下回ったという最新統計を、 気候変動問題などで調査・助言を行う民間団体「気候政策イニシアチブ」(CPI)が発表した。

 クリスチャン・サイエンス・モニターによると、代替エネルギーやスマート・エネルギー技術向け投資は、前年の3640億ドルから3590億ドルに減少した。CPIはマイナスとなった理由について、欧州における政府補助金の縮小、米国での天然ガスの値下がり、中国における風力発電支出の減少が、他地域での新規投資分を相殺したと説明している。

 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスとピュー・チャリタブル・トラスツの共同調査でも、12年のクリーン・エネルギー投資額は前年比11%減の2690億ドル(研究開発費を除く)となった。04年比では5倍の高水準だが、過去10年の継続的な成長が横ばいに転じたとの見方は、いずれの調査にも共通するようだ。

 ただし、世界投資額の動向からは、地域的な動きや投資先の変化がつかみにくい。ジョージタウン大学のジョアナ・ルイス助教授(科学技術・国際情勢)は「ソーラー産業の場合、中国の支配力が高まっているのに対し、欧州諸国は横ばいか、場合によっては低下している。また、ソーラーも風力も投資規模は頭打ちになっていない」と指摘した。

 ピューでクリーン・エネルギー・プログラムを統括するフィリス・クッチーノ氏も、「クリーン・エネルギー経済は世界的に急拡大しており、今回の減少は一時的なものに過ぎない可能性もある」と話した。

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