オラクル、SAP顧客を勧誘 〜 乗り替え企業にライセンス料を1年無料に
- 2013年10月30日
- ハイテク情報
オラクル(Oracle)は、大々的な割引戦略によって独SAPの顧客を勧誘する争奪戦を強化している。オラクルが標的としているのは、SAPのERP(企業資源計画)ソフトウェア「バイデザイン(ByDesign)」の顧客だ。
コンピュータワールドによると、オラクルが着手した顧客争奪策では、バイデザイン利用顧客がオラクルのERPクラウド版ソフトウェアに乗り換えて3年間の契約を結ぶ場合、1年目のライセンス料金を無料にする。
ただ、割引適用に際しては様々な制約がある。たとえば、管理サービスや統合サービス、研修機能は割引の対象外となるほか、バイデザインから切り替えた後はキャンセルできない。
一方、クラウド・ソフトウェアで台頭してきたネットスイート(NetSuite)やケナンディ(Kenandy)も同様に、バイデザインからの乗り替えを促す割引を企業各社に提供している。
その結果、SAPのバイデザインは、非常に厳しい競争に直面し、顧客企業を増やすのに苦戦を強いられている。
現在、バイデザインを利用する顧客は1100社。SAPが以前に掲げた2010年までの目標は1万社だったため、その目標値をはるかに下回っている。
また、開発面でも暗雲がたれ込める。一部では、SAPがクラウド版バイデザインの開発を断念するという懸念が出ている。
SAPの開発部門責任者はそれに関し、バイデザインを引き続きアップグレードしていく方針を強調。同製品は現在、ABAP(Advanced Business Application Programming)サーバーのみの対応となっているが、今後はイン・メモリー電算プラットフォームのハナ(HANA)に対応させる計画だ。
オラクルが展開する乗り替え奨励策は、業務用ソフトウェア業界では以前からの常套手段だが、割引を提示しても顧客企業にとっての費用対効果については疑問が残ると指摘される。
たとえば、オラクルが、バイデザインからの乗り替え制度のなかで繰り返し強調するコンサルティング料金は顧客側にとって不透明な存在だ。3年契約を結ぶ場合、1年目のライセンス料金は免除されるものの、それをはるかに超えるコンサルティング料金が発生する可能性もある。
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