出稼ぎは米国以外で〜南米労働者、新興経済に向かう

 南米諸国で、出稼ぎ先に米国でなく自国に近い経済新興国を選ぶ労働者が増えている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、コロンビア出身のマルコ・アントニオ・セルナ氏(43)は、チリのサンチアゴ郊外にある小さなカジノで働きながら、本国の家族に毎月500ドルを送っている。チリでは現在、コロンビア人社会が拡大しているという。

 海外送金サービス最大手のウェスタン・ユニオンによると、10年前は売上高の50%以上が米国で生まれていたが、送金総額が790億ドルに上った2012年には30%を下回った。

 米国が世界最大の送金国でなくなるという見方はほとんどないが、出稼ぎ労働者の新興経済への移動は、最近の成長鈍化にもかかわらず着実に続いている。

 世界銀行によると、高所得国への送金を含めた12年の海外送金総額は前年比約3%増の5180億ドルとなり、13年は約5500億ドルに達する見通し。これは開発途上国向け対外援助の3倍に相当し、多くの途上国にとっては海外からの直接投資よりも外国為替の方が安定した資金源になっている。

 南米向け送金サービス大手バイアメリカズ(Viamericas、メリーランド州)のポール・ドワイヤー最高経営責任者(CEO)は、「他国からの送金額が米国に追い付くことはない。それでも、米国の厳しい移民政策で入国を拒否された労働者にとって、米国以外の国は貴重な出稼ぎ先になる」と話した。

 前述のセルナ氏も、過去にチリで米国のビザ申請を2回行ったが却下された。現在はチリで合法的に働いており、もう米国に行くつもりはないという。

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