世界の温室効果ガスの6割は、90社が生産した燃料から

 過去150年間に世界で排出された産業由来の温室効果ガス(GHG)の3分の2近くは、わずか90の資源会社が生産した化石燃料によってもたらされたという調査結果が発表された。

 ロサンゼルス・タイムズによると、調査を行ったのはコロラド州の団体クライメート・アカウンタビリティ・インスティチュート。地球上では1854〜2010年に1万4500億トンのGHGが排出され、この63%に相当する9140億トンが90社の生産した化石燃料に起因しているという。

 資源会社の中でも特に生産量が多かったのは、シェブロン、エクソンモービル、サウジアラビアの国営サウジアラムコ、BP、ロシア最大の天然ガス会社ガスプロムだった。調査報告書は、気候変動の原因や影響に関する研究を専門とする学術誌クライマティック・チェンジに掲載された。

 また、最近までGHGの主要排出国は米国などの先進国とみられていたが、9140億トンのGHGの半分は、開発途上地域の急速な工業化によって1986年以降に排出され、世界で消費された化石燃料の大手生産者には、ナショナル・イラニアン・オイル、コール・インディア、ペトロレオス・デ・ベネズエラ、ペトロチャイナといった途上国の公営企業も多く含まれていた。

 さらに、9140億トンのうち89%は燃料の消費によって排出されたが、残りは坑井で余分な遊離天然ガスを燃やすフレアリングやメタン漏れのほか、精製施設やパイプラインの運転などで業界自身が排出した分だった。

 報告書を作成した同インスティチュートのリチャード・ヒード代表は「どの組織が、いつ、石炭、石油、天然ガスを採掘したかに関するこれまでで最も完全な報告書と言える。これらの企業や組織が商品を作り、その意図に沿って何億人もの消費者がそれを使い、大気中の二酸化炭素やメタンの量が増え続けることになった」と語った。

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