ファストフードで心がすさむ?〜小さな喜び味わえずとカナダ研究

 ファストフードの普及は人々にいくらか時間の余裕を与えたかも知れないが、幸福をもたらしたわけではなく、むしろ人々をより短気にしたという論文を、カナダ・トロント大学の研究チームが発表した。現代人には、道でふと立ち止まってバラの香りを楽しむといった人生のささやかな喜びを味わう余裕がなくなったのではないかと指摘している。

 ロサンゼルス・タイムズによると、トロント大研究者らは、米国人のせっかちさの象徴と言えるファストフードと幸福感との関わりついて3種の実験を行った。まずは米国人数百人を対象に、楽しいと思われる体験をどれほど楽しいと思っているかオンラインで質問し、その答えを国勢調査局のデータやファストフード店の数と照合した。

 この結果、所得など他の条件が同じでも、ファストフード店の多い地区では人々が喜びを感じる度合いが約2%低かった。違いはわずかだが明確で、所得差がもたらす影響とほぼ同じだという。

 第2に、257人に複数の写真を見せ、広告としての適性度を評価させた。このうち1つのグループには、1杯のコーヒー、マクドナルドのパッケージに入ったハンバーガーとフレンチフライ、もう1つのグループには、同じコーヒーと陶器の皿に盛られたハンバーガーとフレンチフライの写真を連続して、それぞれほかの「中立的な写真」に混ぜて見せた。その後、一部の回答者には美しい自然の写真を見せ、 残りの人々にはそれを見せずに幸福度を尋ねた。

 この結果、ファストフードの写真を見た後に美しい自然の風景を見ても幸福度はあまり高くなく、ファストフードを見た後に自然の風景を見なかった人の方がむしろ幸福度がやや高かった。このため研究者らは、ファストフードは幸福度を下げる直接の原因ではないが、楽しむ力を弱めているのではないかと推測している。

 第3の実験では、122人に第2の実験と同じバーガーとフライの写真を見せ、次にオペラのアリアを聴かせてどれほど楽しんだか、どれほど長く感じたかを尋ねて、写真を見ずに音楽を聞いた人々と比べた。この結果、122人にはアリアを楽しめず長いと感じた人が多かった。研究チームによると、せっかちな人ほど時間の経過を遅く感じるという。

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