LNGタンカー建造で韓国追撃〜日中造船所、空前のブーム到来で

 日本と中国の造船所は、液化天然ガス(LNG)を輸送するタンカーの建造で韓国を追撃する態勢を整えている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、アジアでLNG需要が上昇しているのに加え、今後は北米産天然ガスの輸出ブームが見込まれる。タンカーの建造技術を向上させた中国では、政府が輸入業者に国内製タンカーの使用を呼び掛けている。一方、日本の造船所も、政治的な緊張関係をよそに中国でタンカーを建造する準備を続けている。

 川崎重工業は今後、中国遠洋運輸集団との提携関係を拡大し、LNGタンカーの建造に着手する計画だ。同社は年2〜3隻の受注を見込んでいる。

 みずほ銀行産業調査部の仲谷能一(なかや・よしかず)氏は「今後5年間、北米の計画実施動向にもよるが、LNG輸送船の新規受注は100隻から200隻の範囲になる見通しだ。日韓の造船業者がその大半を握る一方、中国企業も一部を担う可能性がある」と予想する。

 2009年以降に建造されたタンカー134隻のうち、韓国製は100隻、中国製は20隻、日本製は13隻を占める。

 カナダでは現在、シェール(けつ岩層)由来のLNGを輸出する計画が十数件進められている。世界では日本と韓国がLNG輸入大国であり、中国とインドでも輸入量が増えているため、米国でもアジア向けにシェール・ガスを運搬するタンカーが必要になっている。

 中国企業は今のところ、LNGタンカーに必要な球型のモス(Moss)方式やメンブレン(薄膜)式のタンク製造技術で遅れており、技術の特許を持つ欧州企業2社に特許使用料を支払う必要があるが、政府の助成や日本企業との提携で技術習得に努めている。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  2. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  3. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  4. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
  5. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  7. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る