石油掘削用給水塔の建設に反対〜エクソンCEO、差し止め訴訟の原告に

 石油大手エクソンモービルのレックス・ティラーソン会長兼最高経営責任者(CEO)が、フラッキング(水圧破砕法)に使われる給水塔の建設差し止め訴訟に原告として加わったことが分かり、注目されている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、訴訟はテキサス州バートンビルの非営利水道会社クロス・ティンバーズ・ウォーター・サプライが同地で建設中の大型給水塔(高さ160フィート)をめぐり、付近住民が建設差し止めを求めて起こした。

 給水塔の水は地下のシェール(けつ岩層)に大量の水を注入するフラッキングなどに使われる予定で、クロス・ティンバーズは「拡大する水需要を満たせる供給能力を備えることは州法で義務づけられている」と説明している。

 しかし周辺住民は「建設は違法で、騒音や交通渋滞を引き起こす」と反対している。ティラーソン氏(61)は原告住民の1人で、弁護士によると、氏自身の最大の懸念は騒音や渋滞より所有する土地の資産価値が下がることだという。

 給水塔は、ティラーソン夫妻が所有する馬の牧場(83エーカー)のすぐ隣に建設されており、自宅(18エーカー)からも近く、氏は町議会の公聴会にも何度か出席し建設反対の発言をしている。原告には個人名ではなく「Bar RR Ranches LLC」という牧場名で、他の3組の夫婦とともに加わっており、筆頭原告は元下院院内総務のディック・アーミー夫妻となっている。

 バートンビルはダラス郊外の裕福なコミュニティで、人口は約1600人だが、2000年以降に50%近く増加した。ティラーソン氏は01年にバートンビルに転入し、06年にエクソンのCEOに就任した。フラッキングはエクソンの主要ビジネスの1つで、同社は07年以降、ティラーソン氏の自宅近くの少なくとも9カ所でフラッキングによる石油掘削を行っている。

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