自動運転技術開発、再燃へ~業界で提携が活発化

自動運転技術開発では、複数の企業がさまざまな失敗や遅延を重ねてきたが、エヌビディアをはじめとする半導体メーカーや一部の自動車メーカー・自動車部品業者などは、人工知能(AI)と幅広い提携によってこの分野で新たな進展を狙っている。

◇次世代プラットフォームも登場

ロイターによると、1月上旬にラスベガスで開催された先端技術の見本市CESでは、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)とドイツの部品業者オモビオ(Aumovio)が自動運転車(AV)の商用化支援で提携すると発表。また、自動運転トラック企業コディアックAIとボッシュは自動運転トラック向けハードウェアとセンサーの量産加速を目的に提携した。

さらに、AIチップ大手エヌビディアはAV開発用の次世代プラットフォーム「アルパマヨ」を公開し、ルシッド・グループ、ニューロ、ウーバーのロボタクシーで使われる予定となっている。メルセデス・ベンツも、エヌビディアのチップを搭載し、ドライバーの監督下で市街地を自律走行できる新しい先進運転支援システム(ADAS)を年内に米国で投入するという。

自動運転技術の推進原動力であるAIは、開発ツールとしても成熟しつつあり、コスト抑制効果への期待が高まっている。

◇一般化はまだ先

欧米の自動車メーカーは、自動運転の開発・展開で先行を目指す中国に追い付かなくてはならないという切迫感も感じている。中国政府は2025年12月、一定条件下で自動運転を実現するレベル3機能を備えた電気自動車(EV)2車種を承認した。

ただ、独半導体大手インフィニオンのヨッヘン・ハネベックCEOは、数年以内に完全AVが一般に普及するといった「市場の幻想」には警鐘を鳴らしながら、主要自動車メーカーは完全自動運転への新規投資によるリスクを避けて、すでに利用可能で収益を生むレベル2運転支援技術に力を入れていると述べた。

自動運転業界は誇大宣伝が多く、例えばテスラのイーロン・マスクCEOは19年に「1年後には100万台のAVを走らせる」と豪語したが、実際にロボタクシー(自動運転タクシー)の試験運行を小規模に始めたのはその6年後の25年だった。問題は、AVのシステムを簡単に混乱させかねない「エッジケース(例外的な特殊状況)」が数十億通りも存在することだ。

◇AIで弱点に対処

最初の自動運転ブームが崩壊した後、フォードやゼネラル・モーターズ(GM)を含む主要メーカーは赤字続きのAV開発事業を中止した。しかし現在、エヌビディアの自動車担当幹部アリ・カニ氏は、AIによって自動運転技術の主要な弱点に対処する進歩が可能になったと話す。

モルガン・スタンレーのアナリストはCESに関するメモで、エヌビディアの自動運転プラットフォーム「アルパマヨ」は既存の自動車メーカーに優位性を与え、先行するテスラに圧力をかけることになると指摘。オープンソースであるこのソフトウェアは、テスラと競合する企業の拠り所になると見る向きも多く、独自システムのテスラとソースを公開するエヌビディアの選択を「ある意味で(スマートフォン用OSの)アップル対アンドロイドの対立構図の再現」と呼ぶ声もある。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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