サムスン、欧州と北米で小売戦略を強化 〜 直営店を増設、販売員を増員へ

 サムスン・エレクトロニクス(Samsung Electronics)は、直営店を数多く持たずに世界最大のスマートフォン・メーカーとなったが、今後はさらなる競争激化や、先進諸国での市場飽和状態への接近によって販売成長の減速が予想されるため、欧州と北米で小売網を劇的に強化する方針だ。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、サムスンは、利益の大半をスマートフォンから計上しており、2013年第4四半期に世界のスマートフォン市場の約3割を握ったが、安価なアンドロイド系スマートフォンを販売する新しいメーカーの台頭を受けて、利益増加の減速を強いられている。

 北米のスマートフォン市場ではアップルが優勢で、調査会社IDCによると、2013年第4四半期の米スマートフォン市場では、アップルの42%に対しサムスンは26%、カナダではアップルの44%に対しサムスンが27%と苦戦している。

 かたや欧州ではサムスンが39%、アップルが19%と圧倒的優勢を維持している。

 北米や欧州では、サムスンはスマートフォン販売を携帯電話サービス事業社(キャリヤー)の営業所に完全に依存してきた。しかし同社は今後、特定のキャリヤーや取扱店から独立した販路の開拓に注力する。

 サムスンではそれに向けて、現在31店舗を展開する欧州で直営店を3倍に増やし、カナダでは、90軒のベスト・バイ店内にサムスン専用の展示場と売り場を設ける。また、米国では1400軒のベスト・バイ店内にサムスン・ストアーを開設し、サムスンの訓練を受けた専門販売員を配置する。

 アップルは420軒の直営店「アップル・ストアー」を世界主要都市で運営し、店内設計から外観、店内技術サポートにいたる細部の運営に深く関与し、高級ブランドとしての評判と地位を確立した。

 アップル・ストアーは2013年12月28日占め四半期に全体で70億ドル(1店平均1670万ドル)の売り上げを計上し、週に2万1000人を集客している。

 それに対しサムスンには直営店が少なく、店の運営は外注されていた。しかし、サムスンは、アップル・ストアーの設計で重要な役割を果たしたティム・ガジェル氏を2013年12月に引き抜いて、販売統括責任者に任命し、直営店のてこ入れに着手した。

 サムスンは、アジアにおけるブランディングには成功している。韓国にはソウルだけで100店以上のサムスン・ストアーがある。また、中国や台湾、香港でも直営店を運営している。

 欧州市場でも2008年以降に、フランクフルトやロンドンを含む主要都市でサムスン・ブランドの店を段階的に増やしてきた。今後はそのペースを劇的に加速させ、75店舗以上の新規開店を計画している。

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