特許侵害で1台あたり40ドル 〜 アップル、法外の賠償額をサムスンに請求

 泥沼化しているアップル(Apple)対サムスン(Samsung)の特許侵害訴訟については、フローリアン・ミューラー氏ほど、アップル擁護を唱えてきた業界専門家はいない。

 しかし、そのミューラー氏でさえも、アップルの要求内容には同調できないという論調を唱えている。

 アップルは先日、サムスンによる特許侵害に対し9億2900万ドルの損害賠償を認められた先の陪審団評決を承認された地裁判決を勝ち取ったが、サムスンのギャラクシーに対する米国内販売差し止め請求を退けられた。

 地裁のルーシー・コー裁判官は、和解交渉を両社に命じたものの、交渉はすでに決裂している。同裁判は、旧機種が対象だったこれまでの裁判から新機種を対象とした別の裁判に進展し、それが3月31日から始まる予定だ。

 フォーチュン誌によると、アップルとサムスンは損害賠償の額を協議するよう裁判所から改めて命じられ、アップルはそれを受けて、サムスンが米国内で販売したギャラクシー1台あたり40ドルの特許使用料を主張しているが、アップル擁護者のミューラー氏でさえも、その額は法外に高いと話している。

 アップルは、電話番号タッピング、統合検索、データ同期、スライド解除、自動入力という5つの特許が侵害されたと訴えており、その言い分は大枠で認められている。

 ただ、ギャラクシー1台あたり40ドルという要求額は、評決ではじき出された賠償金額9億2900万ドルよりはるかに高い。

 アップルは以前に、2本の指でズームできる機能に1台あたり3.10ドル、オーバー・スクロール・バウンス機能に同2.02ドル、そしてタップしてズームする機能に2.02ドルの特許使用料を設定していた。それら3件で計7.17ドルの特許使用料となる計算だが、アップルはサムスンに対し、5件で1台あたり40ドルを要求している。

 「3年前にサムスンを提訴したにもかかわらず、自社製品の特許を侵害した製品を米市場から排除する手段がないことにアップルが失望するのは容易に理解できる」「しかし、架空の訴訟での勝訴といった奇妙な論理に基いて常識からかけ離れた額を要求するアップルの主張は、理解できるものではなないし、解決策でもない」とミューラー氏は主張する。

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