クリミア問題で国際企業のリスク拡大
- 2014年3月21日
- 米国ビジネス
ウクライナ南部のクリミア問題をめぐり米国がロシアに対する経済制裁を準備する中、国際企業は現地ビジネスへの影響を懸念している。
ワシントン・ポストによると、ワシントンDCでこのほど、ビジネス・ラウンドテーブルに加盟する大手企業経営者約100人がチャック・ヘイゲル国防長官と会談し、関連情報を収集した。
アーンスト&ヤングの2013年報告書によると、ロシアが12年に世界貿易機関(WTO)に加盟して以降、ロシアに対する企業の関心は高まっており、米企業はロシアに投資する外国勢では最大グループとなった。その中心はテクノロジーと金融サービスだ。
ゼネラル・エレクトリック傘下のGEキャピタル・エビエイション・サービシズ(GECAS)は世界最大の航空機リース会社で、ロシアに54機をリースしている。ノーム・リウ最高経営責任者(CEO)は「業界が深刻な制裁を避けて状況を乗り越えられることを願っている。これは西側のすべての企業にとって特殊な状況」と話し、事態の展開を真剣に見守っている。
企業が恐れているのは、ロシアと西側諸国の対立が外交交渉を越えて経済制裁に発展し、米国の利権が不意の損害を受け、ロシアが米企業に仕返しをする恐れが生じることだ。国際企業を支援する全米貿易協議会(NFTC)には、エネルギー、テクノロジー、金融業界などからロシア関連事業の見通しに関する問い合わせが相次いでおり、ウィリアム・ラインシュ代表は「彼らは報復を心配している。ロシアはこれまで、こちらが何かすれば必ずし返しをしてきた」と語った。
ただしロシアは自国経済に悪影響を及ぼすことはせず、石油生産施設などの外国資産を差し押さえる可能性は低いと考えられる。石油大手エクソン・モービルは「ロシアとウクライナを含め、どんな地政学的な紛争においても中立を保つ」という意向を表明している。
一方、航空機メーカーや航空会社は、緊張の高まりで世界経済の成長が減速し、旅行や航空機の需要が影響を受けることを心配している。
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