カナダ工場が労働者投票実施へ〜トヨタ、北米初の組合誕生か

 カナダのオンタリオ州にある3つのトヨタ自動車工場で来週、労働組合結成の賛否を問う労働者投票が行われる。

 ニューヨーク・タイムズによると、カナダ最大の自動車労組ユニフォー(Unifor)は、ウッドストック、ケンブリッジ、オンタリオの3工場で働く労働者から、投票の実施に必要な40%を明確に超える支持を集めたという。

 北米の自動車労組は、このところ米メーカー以外での組織化に苦戦しており、2月には全米自動車労働者組合(UAW)がフォルクスワーゲンのチャタヌーガ工場(テネシー州)で行われた労働者投票で惨敗したばかり。しかし今回の投票で組織化が決まれば、トヨタでは北米工場で唯一の組合が誕生することになる。

 組合側は、トヨタが最近工場のシフトを10時間制に変更したことや、長年フルタイムで働いている契約社員に正社員のような保証や福利厚生が提供されていない点などを挙げて労働者の説得を図っている。3工場では労働者の4分の1が契約社員と推定される。

 ユニフォーのジェリー・ディアス委員長によると、賃金面に大きな問題はなく「トヨタが悪い雇用者というわけではない。労働者はトヨタで働くことを誇りにしている。しかし、年を取ると状況が変わり、賃金より労働環境が重要になる」という。

 これに対しトヨタは、「3工場の労働者数は組合側が投票申請に記入した6590人よりはるかに多い」と指摘し、本当に投票の実施条件を満たしたのか疑問視している。ユニフォーの前身であるカナダ自動車労組(CAW)が2000年にトヨタで労働者投票を計画した時も、全体の労働者数を少なく見積もったため、実際には労働者の支持が40%に達していないと判断された経緯がある。

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