モバイル・データ通信費を負担する企業が増加 〜 加入者のコスト懸念に対応

 娯楽や買い物にスマートフォンを使う機会が増え、データ通信プランの使用量を気にする消費者が増えていることを受け、アプリケーションやウェブサイトへのアクセスにかかるデータ通信料金をそのサービスやサイトが試験的に負担する例が出てきている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、オンライン雑誌のスレートは、ポッドキャストの聴視者を増やすために、2週間前からその方法を試し、ポッドキャストを聞いてもスマートフォンのデータ・プランに影響しないと宣伝したところ、プレイ・ボタンを押す人が61%も増えた。

 担当者は、「あまりの違いに驚いている」「利用者たちはデータ使用量を真剣に気にしている」と指摘した。

 また、今週発表されるアプリケーションのフリーウェイは、AT&Tのスマートフォン利用者を対象に、イーベイ傘下のスタブハブやエクスペディアといったサイトにデータ通信料金を発生させずにアクセスできるようにする。

 さらに、2013年に始動したキックビット・サービスは、前払い制を使っているスマートフォン利用者が新サービスを確認または登録すると、データ通信容量を無料で入手できるようにした。たとえば、動画サービス大手フールーの7日間試用に登録すると、利用者は200メガバイト分をもらえる。

 米労働省によると、米世帯が2013年に携帯電話サービスに支出した平均金額は2007年比50%増の年間913ドル。5分の1の世帯は1400ドル以上を支出している。

 ベライゾンでは、2013年に携帯電話サービスの月額請求平均が3.5%増の161.24ドルだった。

 そういったコスト上昇は、各社が商品やサービスを消費者の携帯端末に届ける場合の障壁が高くなることを意味する。そのため、各社は、データ・プランを使う価値があることを潜在的消費者に知ってもらう必要がある。

 一方、各社が消費者のデータ転送コストを負担すれば、事業運営費が上がるという課題はある。

 月に5000万人の視聴者が携帯サイトと携帯アプリケーションに1450万時間を投じているユーモア動画サイト大手のブレイクでは、携帯アプリケーションを使うAT&T加入者のデータ・コストを来週から負担する予定だが、サイトを所有するディファイ・メディアのマット・ダイアモンドCEOは、「視聴者が増えなければ経済的利点はない」と指摘する。

 データ通信料金負担の実験期間が今週で終了したスレートの担当者は、「それらの聴視者を維持できるかどうかはまだ分からない」「最終的には彼らが戻ってきてポッドキャストを購読するかどうかを追跡する必要がある」と話している。

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