グーグル、テレビ広告の革新を狙う 〜 史上初の標的広告システムを試験運用

 グーグル(Google)は、ウェブサイトにおける広告追跡技術をテレビ広告市場に持ち込もうと狙っている。同社のその動きは、テレビ広告の枠組みを根底から激変させる可能性が高い。

 フォーチュン誌によると、グーグルは、カンザス・シティーで提供している高速接続サービスのグーグル・ファイバーに使われているセット・トップ・ボックス(STB)によって、加入世帯が試聴するテレビ広告のすべてを追跡し、それにもとづいて広告を世帯ごとに個別化する新サービスを試験的に実施する。

 グーグル・ファイバーは、光ケーブルを使ったインターネット接続サービスとテレビ・サービスで、米国内のいくつかの都市で限定的かつ実験的に運営されている。

 同サービスは、2012年にカンザス・シティーで始まったのが最初で、現在では、アトランタのような大都市にも拡大されている。

 グーグル・ファイバーTVは、加入世帯の所在地や視聴履歴といった情報をもとに、どのような広告がどの世帯で見られたかといったデータから広告効果をリアルタイムで決定して放映する史上初のテレビ向け標的広告システムとなる。

 視聴者は、それらの情報にもとづいて流される広告を見ないことをファイバーTVの基本設定によって選択できる。

 ファイバーTVの標的広告システムでは、たとえば、カンザス・シティーの地元事業主は、実際に流された広告回数の分だけ広告料を払い、また、広告出稿回数の上限も設定できる。任意の広告主の広告が流されるテレビ(加入世帯)は、STBによって収集された試聴データにもとづいて特定される。

 グーグルの今回の試みが好結果を出せば、テレビ広告業界では今後、不特定多数の視聴世帯に同じ広告を一様に流すのではなく、広告を見る可能性が高い世帯や、広告に反応する確率の高い視聴者と判断されるテレビ(世帯)を特定し、それに応じて広告を個別化する手法に移行すると予想される。

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