自動車メーカーのIT企業化 〜 フォード、身体装着型とIoTの車載統合を模索
- 2015年4月2日
- ハイテク情報
フォード・モーター(Ford Motor)は、スマート腕時計やフィットネス腕輪といったインターネット接続身体装着型端末と自動車をいかにして連携させるかの研究を本格化させている。
同社は現段階では、それらの端末が安全性や搭乗者の健康管理に役立つ可能性を想定している。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、「車は現在、究極の技術製品と化している」「それにともなって、われわれはIT企業になりつつある」とフォードのマーク・フィールズ最高経営責任者(CEO)は述べた。
機器類同士の相互接続やインターネットに接続する機械類によって台頭するモノのインターネット(IoT=Internet of Things)は、技術業界以外の産業界ですでに浸透し始めており、その勢いは増すばかりだ。
IBMも3月31日に、検知器類やスマート機器類が集めるデータの解析サービス事業に向こう4年間で30億ドルを投じる方針を発表した。
一方、調査会社ガートナーによると、自動車製造業界は、接続機器の分野が2015年にもっとも成長する業界として位置付けられている。
「われわれは車を健康機器に仕立てようとしているわけではないし、FDA(食品医薬品局)の介入を望んでいるわけでもない」とフォードのゲーリー・ストゥルモーロ先端工学設計および技術責任者は話す。
フォードが考えているのは、心拍数や血圧、血中酸素濃度、グルコース値といった生命徴候を追跡する携行型端末を運転者や同乗者が車内に持ち込み、車載IT機能に組み込ませることで、運転中の健康状態を監視できる機能だ。
それらのデータは暗号化され、車載ITシステムに保存されないようにし、利用者の許諾なしでは第三者と共有しない仕組みによって、運転者や同乗者たちの健康関連データの保護を完璧にすることも視野に入っている。
フォードには、フォード・シンク(Ford Sync)という車載マルチメディア・システムがあり、利用者の端末とそれを連携させることで、たとえば、運転中に血中グルコース濃度が下がり始めたり、糖尿病の子供が後部座席で寝ているあいだのグルコース値を監視して異常を検知した場合に、フォード・シンクを介して通知や医師とのデータ共有を可能にすることが想定される。
IoTの浸透は、検知器や接続、データ処理のコスト低下によって刺激されており、その傾向は今後ますます強まることが確実視される。
ガートナーでは、2015年に世界で49億のモノがIoTとつながると予想する。消費者向けのIoT応用がIoT機器の増加を牽引するものの、IoT関連の売り上げは産業活用によって占められる見通しだ。
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