デュポン、物言う投資家制す〜株主の委任状争奪戦で

 化学大手デュポンは13日株主総会を開き、株主が取締役12人全員の留任を承認した。経営陣と物言う投資家(アクティビスト)のネルソン・ペルツ氏率いる投資ファンドが繰り広げた委任状争奪戦は、経営陣の勝利に終わった。

 ロイター通信によると、ペルツ氏のトライアン・ファンド・マネジメントはペルツ氏自身を含む4人の取締役選出と事業の分割を求めていたが、果たせなかった。トライアンはデュポンの2.7%を保有する5番目に大きな株主だが、関係者の話では、経営陣はほかの大株主のうちバンガード・グループ、ステイト・ストリート・グローバル、ブラックロック・インスティテューショナル・トラストという3つのインデックス・ファンドから支持を取り付けたという。

 トライアンはインデックス・ファンド以外の株主の大多数を味方につけていたため、3つのうち1つでもトライアン側についていれば結果は違っていたと見られる。二者の大きな争点の1つは二酸化チタン商品やテフロン加工などを供給する高機能化学品部門のスピンオフ(分離・独立)計画だったが、エレン・クルマン最高経営責任者(CEO)は「当社が経営をどう再構築しているか、数カ月かけて投資家に説明した」と語った。

 デュポンは今回、株主工作に1500万ドルを投じ、全体の3分の1以上を占める個人投資家にも働きかけた。「彼らは通常それほど頻繁には投票しないが、今回は関心が高く、行動的だった」(クルマンCEO)という。

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