安いインクはプリンター市場を蘇生できるか 〜 エプソン、新型機種で挑戦

 エプソン(Epson)は、従来型プリンターの常識をくつがえす新製品「エコタンク(EcoTank)」を発表し、関心を集めている。

 プリンター需要が劇的に弱まって10年近くたつ昨今、プリンターの新型が発表されてニュースになることはないため、エコタンクに関する報道は異例と言える。

 消費者向けプリンターはこれまで、数十ドルの手ごろ価格にもかかわらず、使い切る前にインクが出なくなるか、インクがすぐに切れるインク・カートリッジに20ドル以上の価格を付け、消費者からの不評を買い、いずれは放置される遺物と化した。

 豪州ファイナンシャル・レヴュー紙によると、エコタンクのインク・カートリッジは非常に大きく、1個あたり13ドルという低価格で、従来型のインク・カートリッジの20個に相当するセットの価格もわずかに52ドルだ。エコタンクのインク・カートリッジは、約2年もつほど大きい。

 エコタンクには、消費者向けと法人向けがある。法人向けのワークフォース・プロWF-R4640エコタンク・オール・イン・ワンは、毎秒22ページのカラー出力で、ワイファイ接続機能がついており、価格は1199ドル。

 一方、白黒なら毎秒9.2ページ、カラーなら毎秒4.5ページのワークフォース・プロET-4500エコタンク・オール・イン・ワンは429ドル。

 かたや、写真印刷向けと位置付けられるエクスプレッションET-2550エコタンク・オール・イン・ワンは399ドル。エクスプレッションET-2500エコタンク・オール・イン・ワンは、ワイファイ機能が搭載されておらず379ドル。

 プリンター事業はこれまで、本体を安く販売し、低コストで消耗品のインク・カートリッジを高く売ることで事業全体を黒字にするというビジネス・モデルだったが、エコタンクはそれとまったく逆のモデルだ。

 消費者がそれを受け入れるかどうか、エコタンクの売れ行きが注目される。

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