3Dプリンター業界、予想外の低迷 〜 HPの高性能機種が出るまで買い控えか

 急成長を続けてきた立体印刷(3Dプリンティング)業界が最近、低迷している。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、業界大手3Dシステムズでは、2015年第2四半期の業績が予想を下回り、前年同期の純利益210万ドルから1370万ドルの損失に転落した。同社の総売り上げは増加したが、買収や為替の影響を除く実質売り上げは前年比で5%減少した。

 競合社のストラテシスも、売り上げは13%減、損失は17万3000ドルから2290万ドルに拡大した。

 両社は、2014年の業界売り上げ全体の3分の1以上を占めた業界2強。立体印刷機業界全体の売り上げは過去3年間に年率平均約34%で増加していた。

 両社とも、近年の急激な販売増や買収にともない、3Dプリンターの品質や信頼性の問題に直面していることを認めている。

 大型小売店では5000ドル以下の3Dプリンターが広く販売されているが、期待された個人向け販売は伸びておらず、ストラテシスでは年間販売に占める家庭向け利用の比率は10%未満とみられる。

 業界コンサルタントは、低迷の原因として既存機種の使いづらさを指摘しており、購入後に使用されずホコリをかぶっている場合が多いと指摘する。

 企業でも、予算が厳しいなか、現行機種は機能が限定されて遅いうえ、2Dプリンター大手のヒューレット・パッカード(HP)が、高速でより信頼性の高い3Dプリンターを1〜2年以内に出すとみて、購入を控えている状態だ。

 HPは、複数のプラスチック素材を同時に扱うことができ、既存の3Dプリンターの10倍速いというマルチ・ジェット・フュージョン技術を使った産業用3Dプリンターを2016年に発売すると発表している。

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