アップル、アイパッドの対企業売り込みを強化 〜 技術業界40社と大型提携
- 2015年8月18日
- ハイテク情報
アップル(Apple)のアイパッド(iPad)は、タブレット市場を創出した記録的ヒット製品だった。しかし、近年では販売台数が落ち込んでいる。同社はそこで、アイパッド需要を喚起すべく、法人市場を再開拓するために過去最大の販促攻勢をしかけている。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アップルはまず、会計や販売プレゼンテーション用アプリケーションを手掛けるソフトウェア会社を中心とした40社以上の技術系企業と提携した。
今回の販促は、アップルが得意とする携帯通信端末に適した環境で仕事のやり方を作り直すことで、年間2兆ドルにのぼる職場関連の技術投資市場に食い込むのが狙いだ。
アップルはそれにともなって、会計事務所ゼロ(Xero)や業務用アプリケーション開発各社の担当者を招き、アップルの企業向け専門部隊強化をそれらの企業に依頼している。
アップルは、提携先との会合で、各社が出しているアイパッド向け業務用アプリケーション群の改善点について説明し、また、相互接続が可能なアプリケーションの開発を奨励しながら第三者との提携を仲介している。
ただ、モビリティー・パートナー・プログラム(MPP)と呼ばれる同販促制度は、アップルの役割や提携各社の名前、商品名といった詳細を明かさないため、MPPに加わった各社にとって不明な点が多いという不満もある。関係筋によると、アップルは、「MPP」という名称を公言しないよう参加各社に求めているという。
消費者市場に特化し法人市場を軽視してきたアップルにとって、企業への売り込みは難しい仕事だ。マイクロソフトやグーグル、サムスンと違って、アップルには法人向け事業を展開する企業文化も販売網もない。
それでも今回の販促攻勢に出た背景には、アイパッドの販売低迷が深刻であると同時に、アイパッドを業務利用している会社が多いという明るい材料がある。
アイパッドにかぎらず、タブレット市場はこの数四半期、全体的には低調だが、業務利用は伸びている。調査会社フォレスターによると、タブレットの業務利用は2014年にタブレット市場全体の12%だったが、2018年には20%に拡大すると予想される。
アップルでは、1980年代からの宿敵であるIBMと2014年に業務提携し、iOS向け業務用アプリケーションの開発と法人市場向けiOS機器販売を強化している。法人市場開拓を不得意とするアップルにとって、企業顧客基盤が主体のIBMとの提携は理にかなった戦略だ。
IBMとアップルの提携では、各種の業務用アプリケーション群をiOS機器に同梱することで企業市場の開拓を強化するもの。
アップルはそれに加えて、AT&Tやベライゾンとも業務提携を模索している。
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