デュポン・インダストリアル・バイオサイエンシズ(DuPont Industrial Biosciences)とアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(Archer Daniels Midland)は、バイオベースの化学物質や樹脂の基礎となる分子を果糖(フルクトース)から生成する方法を開発した。
その過程で生成されるのは、フランジカルボン酸メチルエステル(FDME)という分子だ。FDMEは、フランジカルボン酸(FDCA)の純度の高い派生物質。米エネルギー省は、高価値の化学物質に変換できる基礎分子12種類のうちの一つにFDMEを特定している。
エンバイロメンタル・リーダー誌によると、FDMEは、梱包材や繊維、プラスチックを含む多様の用途に使える化学物質や樹脂に変えられる可能性がある。長年にわたって研究されてきたが、商業規模で安価に生成する方法はまだ開発されていない。
2社が開発を進めている新しい方法は、従来の過程に比べて効率が高く単純な手法だ。少ないエネルギー使用量で多くのFDMEを生成できるという利点がある。
アーチャー・ダニエルズは、フルクトース生産技術で世界的に高い定評を有している。一方のデュポンは、バイオテクノロジーや素材化学の分野で専門性を誇っている。
「この分子は、業界を一変させる潜在性を持った基礎技術だ。100%再生可能な高性能の化学物質や重合体を高いコスト効果で生産できるようにする。多数の業界で応用が可能になる」と、デュポンのバイオ素材研究責任者サイモン・ヘリオット氏は話す。
FDMEを使って開発されつつある重合体(ポリマー)の一つが、ポリトリメチレン・フランジカルボキシレート(PTF)だ。デュポンが開発したバイオPDO(1,3-プロパンジオール)で作られたポリエステルで、飲料ボトルとして使えば、ほかのポリエステルに比べてきわめて高い気体遮断性を発揮する。
両社は現在、FDMEを商用化するために同事業計画の規模を拡大させつつあり、その一環として、年間60トンの生産能力を持つ実演工場をイリノイ州に建設する計画だ。
多数の調査報告書を収録するリサーチ&マーケッツで開示された報告書によると、再生可能化学物質の世界市場は2015年の490億ドルから2020年までに843億ドルに成長すると予想される。
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