原油価格の低下傾向は少なくとも今年中は続く見込みで、航空業界では収益や旅行需要が向上しているが、価格の急上昇に備えて各社は人件費などの抑制を心がける必要がありそうだ。
ロイター通信によると、原油価格はこの1月、制裁解除を受けたイランの輸出拡大により1バレル=30ドルを割り込み、2003年以来の安値水準となった。マーカス・エナジー・アドバイザーズのマイク・コーリー代表は「さらに5〜10ドル低下しても驚かないが、予想以上に速く価格が回復する可能性もある」と見ている。
航空業界では、燃油価格の低下を受けて燃油以外のコスト戦略に関心が向いており、ルフトハンザやエールフランス−KLMのような老舗とライアンエアのような格安航空会社の違いが注目されている。
ブリティッシュ・エアウェイズとイベリア航空を所有するインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は、16年もコスト削減努力を続ける方針で、特に人件費が最も重要になると見てオフィス業務の一部をポーランドのクラクフに移している。ウィリー・ウォルシュ最高経営責任者(CEO)は「当社は欧州で最も積極的な格安航空ライアンエアなどと競合しており、効率的に競合できるようなコスト基盤を持つ必要がある」と話した。
ハンガリーの格安航空会社ウィズ・エア(Wizz Air)の場合、コストに占める人件費は8%だが、人件費はインフレで徐々に上昇するため削減を継続的に行っている。ジョゼフ・バラディCEOは「コスト面ではライアンエアに近づいている」と述べた。
一方、原油価格の低下で燃料のヘッジ(危険回避)戦略を見直す航空会社も増えている。一般的に米国の航空会社は欧州の同業に比べるとヘッジは控えめで、ユナイテッド航空の場合、以前は年間に必要な燃料の約30〜40%をヘッジしていたが、近年は約15%にとどめている。ただし、燃油価格が下がっても高い時期に開発された燃費の良い新型ジェット機の注文が取り消されることはないと見られている。
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