ホテルで浸透しつつあるロボット給仕 〜 接客業の自動化には賛否両論も

 ホテルの客室サービスがITによって変わりつつある。ロボットやインターネット技術の利用によって、将来的には人間の給仕が不要になる可能性が高まっている。

 ロサンゼルス・タイムズによると、ロボット給仕サービスをホテルに提供する新興企業サヴィオーク(Savioke)は、1500万ドルのベンチャー投資を1月に追加調達し、事業を順調に拡大している。

 サヴィオークがホテルに貸し出す給仕ロボット「リレイ(Relay)」は現在12台ある。リレイの重さは100ポンドで、身長は3フィート。ホテル内を自律移動するリレイは、タオルや歯磨きセットといった客室備品を届けている。ホテルの従業員がリレイのディスプレイから部屋番号を入力するだけで、リレイはエレベータに自力で乗り込み目的の部屋に直行する。

 また、一部のホテルでは、部屋に設置されたタブレットを使うことで宿泊客がルームサービスを注文できるほか、タクシーを呼んだり、部屋のブラインドを調節することもできる。

 ホテル・チェーン大手のマリオット(Mariott)では、客室ドアの錠をスマートフォンで開閉できるアプリケーションを開発した。同アプリケーションは現在、マリオットが運営する112のホテルのほか、同社傘下の新ブランドのホテル「トゥルー(Tru)」でも導入された。マリオットが開発した最新のモバイル・アプリケーションでは、スターバックスのコーヒーを部屋まで届けてもらうこともできる。

 ロボットや技術を使った接客に関しては賛否両論がホテル業界内で強まっている。特に高級ホテルでは、個々の顧客に適切に対応する接客の質が重要だと考えているため、機械による接客自動化には反発する動きが強い。

 その一方で、デジタル社会に慣れている若い世代を取り込みたいホテルでは自動化に積極的だ。

 客室サービスの無人化は、人材不足解消をはじめ、人件費やエネルギー・コストの抑制に貢献するという見方もある。チェックインの受け付けをディスプレイで完全自動化することで、チェックイン処理にかかる時間が短縮され、客室の空調にかかるエネルギーと電気代を節減できる。

 また、荷物運びのロボットにチップを払わずに済むことを歓迎する宿泊客も多い。

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