FDA、デジタル薬を初承認〜極小チップで飲み忘れ防止
- 2017年11月19日
連邦食品医薬品局(FDA)は14日までに、世界初のデジタル医薬品を認可した。ウォールストリート・ジャーナルによると、認可されたのは大塚製薬とシリコンバレーのプロテウス・デジタル・ヘルス(Proteus Digital Health)が開発した抗精神病薬「エビリファイ・マイサイト(Abilify MyCite)」。
統合失調症や双極性障害などの治療に広く使われる大塚の「エビリファイ」の錠剤に、シリコン、マグネシウム、銅のようなミネラルを含む極小チップを組み込んだ製品で、服用するとスマートフォンに信号が送信されるため、患者が薬を飲んだことを医師らが確認できる。
患者が飲み込んで体内で胃酸と混ざると、患者の体に貼られたパッチ型受信器に心拍のような信号を送信する仕組み。受信器には服用した量と時間が記録され、この情報が患者のスマートフォン・アプリに送信され、医師や介護者が情報を共有できる。錠剤の中のチップは、最終的に体外に排出される。
チップ技術はプロテウスが提供しており、両社は何年も前からこの薬の試験を行ってきた。薬の飲み忘れで治療効果がなくなる恐れがある精神病患者らが対象だが、デジタル薬品は、患者が処方通りに薬を服用しないと薬の売り上げが下がる、症状が悪化して患者の治療費が増える…といった問題も解決できる可能性がある。
ただし、そもそも患者や医師がデジタル薬を望むかという根本的な問題や、望むとしても保険会社がどれほど対応するかといった課題は残っている。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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