ビットコインがこの数日ほど乱高下しているが、その直前には連日のように最高値を更新していた。ロイターによると、ビットコイン相場を押し上げる主因の一つと言われる次の「半減(halving)」期が4月中に到来するため、それが価値変動にどのように影響するのか注目が高まっている。
▽採掘報酬を半減する約4年に一度の制度
ビットコイン半減とは、ビットコインの採掘報酬を半減する約4年に一度の制度だ。ビットコイン半減期は、その基盤技術であるブロックチェーンが変更される(採掘報酬の半減)ことで、新しいビットコインの生成速度を遅らせ、過剰供給を防ぐしくみとして設計されている。
ビットコインは、架空(仮名)の発明者サトシ・ナカモト氏によって、2100万トークンという供給上限が始めから設定されている。ビットコイン・コードには半減法が記述されており、新しいビットコインの流通速度を落とすよう設計されている。ビットコインはこれまでに約1900万トークンが採掘された。
半減期では、採掘者への生成(採掘)報酬として払われるビットコインの量が半分に減らされる。 採掘報酬がそれによって減ることから、新しいビットコインの生産速度が遅くなり、過剰供給が回避されるというしくみだ。
▽次の半減期は4月ごろに到来
ブロックチェーン技術には、「ブロック」と呼ばれる情報記録の作成が含まれる。ブロックは、「採掘(mining)」と呼ばれる過程で「チェーン」に追加される。採掘者たち(miners)はサーバー群の電算力を使って複雑な数学パズルを解いてブロックチェーンを構築し、新しいビットコインのかたちで報酬を得る。
ビットコインのブロックチェーンは、21万ブロックがチェーンに追加されるたびに半減するように設計されていることから、半減期はおよそ4年ごとに起きる。次の半減期は4月ごろに到来すると予想される。それによってビットコイン供給量が減るため価値が上がるというのが一般的な見方で、最近のビットコイン相場高騰もそれが要因の一つと解釈されている。
▽ETFや金利を引き下げ観測も主因か
昨今におけるビットコイン価値上昇の別の要因には、米証券取引委員会がビットコインETF(exchange-traded fund)を1月に承認したことと、連銀が金利を引き下げる可能性の高まりという観測がある。
ただ、ビットコイン採掘は世界中で事業化されており、たくさんのサーバーをデータ・センターのように整備した採掘所が無数にある。したがって、ビットコインを多く埋蔵する採掘業者らが、その一部を売却すれば市場に出回る供給量が増えることでビットコインの価値が下がる。
そのほかにも、金融商品化されたばかりのETFの提供会社らが、ビットコインを買うばかりで売らないため流動性が弱まり、ビットコインの価値が低迷しているという分析もある。
▽半減期と価格の因果関係を示す科学的証拠はない
過去の半減期では、報酬半減がビットコイン価格の上昇を引き起こしたことを示す科学的証拠はない。直近の半減期が2020年5月11日に起きた際には、その価格は翌週に約12%も上昇した。しかし、その前の半減期が2016年7月に到来したときには、翌週に約1.3%上昇したものの、数週間後には急落した。
そのため、今回の半減期がビットコイン価格にどのように影響するかを予想することはほぼ無理だ。
ビットコインは3月22日午前10時半(米東海岸時間)に約6万3280ドルで取り引きされている。わずか9日前の3月13日には、最高値を更新し7万3100ドル以上に高騰していた。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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