マサチューセッツ工科大学(MIT)は1月22日、さまざまの業界で人工知能が人間に取って代わる可能性に関する懸念に回答することを目的とした研究の結果として、現時点では人間の労働力より人工知能の方がコスト高になるため、近い将来に人工知能が雇用機会を本格的に奪う状態にはならないという結論を発表した。
ブルームバーグによると、MITの研究者らは、物流や不動産鑑定を含め機械視認(コンピューター・ヴィジョン)がすでに採用されている業界や職種に照準し、米国内の多種多様の職種における自動化の利点とコストの関係をモデル化した。その結果、実質的に人工知能基盤の機械視認に代替できる労働力は23%であることがわかった、と研究者らは論文「Beyond AI Exposure」のなかで報告した。
機械視認技術がまだ実用化されていない分野の仕事を含めた場合、人工知能基盤の機械視認技術は、実装と運用に高額の費用がかかり、人間の労働力より費用対効果が悪いことから、コストがさがるまで本格的には導入されないだろう、と研究者らは結論づけた。
「自動化機械や人工知能ソフトウェアがわれわれの仕事を奪うという見方は、技術革新が急激に進むときにかならず言われることだ」「大規模言語モデル群(largelanguage models=LLMs)があいついで構築されたことでそれが表面化しただけだ」とMITのコンピューター科学および人工知能研究所の研究者らは指摘した。
機械視認技術の費用対効果は、小売や運輸、倉庫といった分野でもっとも有利だ。ウォルマートやアマゾンがそれを顕著に示した分野でもある。
MITの論文はそのほか、医療分野でも同じことが言えると指摘する。医療機関は特に、AIアース(AI-as-a-Service=AIaaS)をサブスクライブすることで、人間の労働力と競争できる機械視認技術を活用しやすい分野だ、と研究者らは述べている。
同研究では、MIT-IBMワトソンAIラブ(MIT-IBM Watson AI Lab)からの資金を受けて、800の職業にわたって約1000の視覚支援作業に関するデータを集めて分析した。研究者らによると、現在、それらの職種のうち、高いコスト効率で自動化できるのはわずかに3%だが、データ関連コストが下がり精度が向上すれば、その割り合いは2030年までに40%に上がる可能性がある。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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