知っておきたい基本情報
アメリカの保険

アメリカ生活でトラブルは極力避けたい。しかし、そのトラブルが起こってしまったら? そのために事前にできることは何だろう? 個人として、また法人として知っておきたい、リスク回避の保険に関する基本情報を専門家に聞いた。

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万が一に備え十分な補償額を
自動車保険

 公共交通機関が整備されていない地域もあるアメリカ。自動車保険は日常的に自動車を運転する人には身近な存在のはずだ。それでも自分が加入している保険のカバー内容について、意外なほど知らない人が多いと話すのは、アメリカ41州の保険営業のライセンスを持つダイワインシュランスの代表、タッド安岡さんだ。

 「よくあるケースとしては、(補償額の)リミットが十分ではない場合。また逆に古くて価値がない車にフルカバーをかけるなど保険代理店に言われるままに、余計なものまで購入していることもあります」

 購入する保険の種類は、州によっても義務化されているものが異なるが、対人対物補償保険、ライアビリティと呼ばれるものが第一に挙げられる。これは過失事故を起こした際に相手の怪我、自動車、物損をカバーするもの。ただし、カリフォルニアでは対人1人につき1万5000ドルの補償金額の保険に入ることが義務づけられているが、実際に事故を起こした場合はそれでは十分でないことも多いと言う。

 「相手を怪我させてしまった場合、また車が廃車になった場合のことを想定すると足りるわけがありません。また、保険加入時には、ご自分がどれだけの資産を持っているか、という点も意識する必要があります。ビジネスオーナーの方、ご自宅などの資産のある方は、高いリミットの保険に入っていないと、万が一、大事故を起こした場合は相手からその資産を取られてしまう可能性が高いからです」

 次に無保険者保険。これは相手側に過失があり、その相手が保険加入していない場合に、自分の損害をカバーしてくれる保険だ。対人対物に加入していることが前提のはずなのになぜ? と思ってしまうが。

 「保険加入が義務化されていても、まだまだ無保険者が多いのが実態です。相手がもともと保険を持っていないケース以外にも、手続きの更新を忘れていた、さらに当て逃げされたという場合も無保険者保険でカバーされます」

 また、初心者である10代のドライバーには十分な補償額を、と安岡さんは強調する。「十分な補償の保険を買わないのであれば、最初から自動車を運転させないようにと言いたいですね。10代のドライバーはかなりの確率で事故を起こすからです。最近も10代のドライバーの乱暴な運転の自動車に驚いて、接触していないのに高齢者ドライバーが自分の車を壁に激突させて亡くなったという事故がありました。接触していなくても過失として認められてしまったのです」

 前述のように、自分がどこまでの補償額の保険に加入しているかを把握することは当然として、更新する際には内容の見直しも安岡さんは推奨している。

 「ただし、他社と比較して数ドルしか変わらないのであれば変更しない方がいいこともあります。ロイヤリティーディスカウントと言って、保険会社によっては加入年数が長い顧客に対しては料率を下げたり、またディダクタブル(免責)を下げたりすることもあるからです」

 いずれにしても自分に必要なカバー内容は何か、どれだけの資産を保有しているのかなど総合的に判断して保険を選ぶ必要があると言えそうだ。

Photo © Keiko Fukuda

Photo © Keiko Fukuda

Daiwa Insurance Marketing, Inc.
代表のタッド安岡さんは業界経験26年、ダイワインシュランスとしては19年の歴史。自動車保険以外にも家屋、医療、生命、投資、企業保険と幅広い商品を扱う。
800-447-5537
www.daiwainsurance.com

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