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日本の食
自然志向最前線
- 2017年2月1日
- 2017年2月号掲載
オーガニック、ナチュラル、グルテンフリー、マクロバイオティックなど、アメリカでは今、健康的な食のトレンドが広まっている。そこで、一般に健康的だと言われる日本食の中でも、より自然な食品を米市場に送り込んでいる企業にその熱い取り組みを聞いた。
加熱処理しない
酵母や酵素が生きている味噌
Miso
以前はSoybean pasteと呼ばれていたが、今ではすっかりMisoとしてアメリカ人にも定着した感がある発酵食品。その味噌を、オーガニック大豆を使用して1976年から生産しているのが、ロサンゼルス郊外ボールドウィンパークに本社を置く都オリエンタルフーズだ。
「当社の味噌は遺伝子組み換えの原料は使わず、材料から言っても当然グルテンフリーです。また、酵母や酵素を生かすために加熱処理は行いません。ですからローフードの食材としても使っていただけます」と同社の味噌、コールドマウンテンの特徴について説明してくれたのは、バイスプレジデントの清水照雄さんだ。清水さんは40年にわたり、オーガニック大豆から味噌を作り続けてきた。
「オーガニックの大豆は従来の大豆と比べると非常に高い。ある時、試算してみたところ、コンベンショナル(従来式)の材料に変えると数十万ドルのセービングになることがわかりました。しかし、最初から有機で作っている以上、もう後戻りは出来ません。なぜオーガニックが高いかと言うと、手間がかかるために生産農家の数が多くないこと、オーガニック農園に転換しようとしても土壌を変えるのに3年かかることから簡単にはいかないからです」
世界中でナチュラル志向が高まっている中、年を追って、フードショーへの出展も増えているそうだ。「最初の頃はフードショーでも味噌と豆腐はどう違うか? といった質問も受けました。しかし、今では味噌は確実に食のトレンドに乗っています。以前はソイフードと言ったら欧米人にとっては牛の餌でした。しかし、今はヘルシーな健康食だと認知されています。大学のカフェテリアでも味噌汁が出されるようになりました。これはアメリカ人が子供と一緒に日本食を食べ、その次の世代の人々も自然と日本食に手が伸びるようになっているからだと思います」
その結果、コールドマウンテン製品は2016年、前年比2、3割増しで売り上げが伸びた。自然食品マーケットのホールフーズ全店舗で購入できる他、日系マーケットでは同じ内容で、やまじるしブランドで売られている。
「製品としてパッケージされても、さらに購入後でも、酵母が生きているので、香りを作り出し、より美味しい味噌になります」
コールドマウンテン味噌は6種類の商品に分かれている。マクロバイオティックの人々はより熟成したものを好むため、熟成期間5、6カ月のRed Miso(赤味噌)が人気だとか。「日本食が好きなアメリカ人はどの味噌が美味しいかを知っています」と清水さん。最後にアメリカでの味噌作りのゴールを聞くと、「味噌を幅広い料理に使える調味料として受け入れてもらえるようになれば」と抱負を語った。
Miyako Oriental Foods
www.coldmountainmiso.com
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