給与管理サービスを小規模事業向けに提供する新興企業のガスト(Gusto)は9月30 日、より良い財務および経済的選択肢を雇用主経由で従業員に提供する新商品群を発表した。同社はここ数年で中小企業向け財務健全(financial wellness)ソリューション分野へと事業を広げている。
テッククランチ誌によると、新商品の一つ「ガスト・ウォレット(Gusto Wallet)」は、顧客会社の従業員にガスト経由で給与が支払われる従業員向けのアプリケーションと機能群。同プラットフォームでは、ガストが「ミニ銀行」および経済的健全監視役(financial health monitor)として機能する。
同社はそれによって、従業員が給料の一部を貯蓄に回せる有利子現金口座「キャッシュ・アカウント(Cash Accounts)」や、キャッシュ・アカウント専用のデビット・カードを提供する。
ガストは、給与管理料金をソフトウェア購読料金(継続的定額サービス)として雇用主から徴収している。新たな金融(または財務)サービスは顧客の従業員に無料で提供される。
ガスト・ウォレットにはそのほか、従業員の給与履歴をもとに給料日を前倒しできる「キャッシュアウト(Cashout)」と呼ぶサービスがある。給料日前に現金が必要になった従業員を支援することで、給料日融資(ペイデイ・ローン)といった高利貸しサービスに頼らずにすむようにする。
クレジット・カードやデビット商品、保険商品を提供するフィンテック新興企業が増えるなか、金融サービス分野での新規顧客の獲得は難しい。一社または一人の新規顧客を獲得するためのコストは数百ドルといわれる。そのため、高コストを投じて獲得した新規顧客には自社商品をできるだけ多く使ってもらい、顧客価値を最大化し、そのコストを回収する必要がある。その点においては従来の金融機関でも同様だ。
ガストはそれに対し、たとえばガスト・ウォレットによって、給与が第三者口座へ流れるのを阻止し、自社商品を顧客に利用してもらいやすいという強みがある。金融サービスではなく給与管理サービスを定期利用サービスとして提供する同社は、新サービスの多くを無料で提供することも可能だ。
給与支払いや401K計画(管理)、貯蓄口座、デビット・カードといった各種サービスを包括的に扱うことで、ガストは顧客会社の従業員向けの経済的健全ツールの提供を目指しているといえる。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
ターゲットとショッピファイが提携 〜 ターゲットのオンラインいちばに中小の小売業者らが出店可能に
-
人工知能銘柄が今後10年の株式市場を動かす 〜 シスコの元CEOのベンチャー・キャピタリストが予想
-
2024年7月8日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
スマート包帯の研究&開発が前進 〜 傷口の状態を遠隔追跡、包帯から投薬や電気刺激を可能に
-
飲食店で印刷メニューが復活~QRコード不評で
-
2024年7月1日 アメリカ発ニュース, 世界のニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
ウェザーXM、ウェブ3とIoTで気象データに革新 〜 動く気象観測所群の分散型連携網を構築
-
米消費者のガソリン車好き続く~KPMGの意識調査
-
2024年6月27日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
対中EV貿易戦争、様々な副作用も
-
傷が早く治る、次世代ばんそうこう~医師との通信も可能に
-
生体認証決済が米国で拡大しつつある 〜 マスターカードやJPモルガンも導入へ
-
米国特許商標庁、出願者らの個人住所流出が再発 〜「不注意」が原因、影響を受けた人たちに通知