部品業者は「危険な環境」に直面~25年、EVの不確実性と関税で

米政権の関税政策や自動車メーカーの電動化計画を巡る不確実性などにより、2025年は、北米の自動車部品業者にとって困難な年になるとみられている。

◇資本リスクが増大

オートモーティブ・ニュースによると、S&Pグローバル・モビリティーのマイケル・ロビネット副社長(予測戦略担当)は「今はサプライヤーにとって非常に危険な環境。サプライヤーは柔軟かつできるだけ機敏に意思決定する必要がある」と見ている。

部品メーカーは今年も、自動車メーカーによる土壇場での電動化計画の変更、特に連邦政府のEV補助金の縮小に伴う対応に追われる可能性がある。同時に、特にカナダやメキシコ製の部品を大量に出荷または輸入している部品メーカーにとっては、関税の脅威とそれに伴うコストが供給基盤に大きく立ちはだかることになる。

こうした要因が重なり、サプライヤーはどの自動車プログラムに供給すべきか、どのメーカーと取り引きするかの判断が難しくなっている。多くの部品メーカーはすでに、期待したほどうまく行かなかったEV部品プログラムのせいで資産価値の減損に苦しんでいる。この不確実な環境では勝者と敗者の見極めが難しく、ロビネット氏は「排ガス規制や関税の変化に関する業界の資本リスクは信じられないレベル。これは北米のサプライヤーと自動車メーカーの競争の力学を大きく変える」とみている。

◇生産の安定性を懸念

こうしたリスクは、一般的にサプライヤーの利益率が、新型コロナウイルスの大流行とそれに続くサプライチェーン(供給網)問題よりも前に比べて低い状況で起きている。コンサルティング大手ベイン・アンド・カンパニーの12月の分析によると、コロナ禍後に各分野の利益率が平均以下から平均以上に上昇したサプライヤーは10%に満たない。

また、サプライヤーは部品を供給している車種に対する不安も募らせている。米自動車部品工業会(MEMA)が12月に実施した調査で最も多かった懸念は「供給する自動車プログラムの販売不振」で、「米国の貿易政策」や「経済の強さ」に関する懸念を上回った。

サプライヤーの多くは、自動車メーカーのEV成長予測に合わせて工場の再編成、新工場の開設、従業員の教育、EV新技術の開発などに多額の資金を費やしてきたが、自動車メーカーは販売が予想を下回るとその規模を縮小しており、サプライヤーは期待したリターンが得られないことが多い。

それでも自動車メーカーは毎年より多くのEVモデルを発表している。その結果、競争の激化でモデルごとの生産台数が減り、サプライヤーの部品販売が減る可能性がある。

◇政策見極めて決断

一方、関税の脅威も深刻だ。トランプ大統領はカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を検討していると表明し、「2月1日にやるつもりだ」と述べた。、実施されれば部品や自動車の生産に多大な負担がかかってサプライヤーの収益を悪化させる可能性がある。

このため自動車メーカーやサプライヤーは、米政権が及ぼす貿易への影響や規制環境がどうなるかを慎重に見極めた上で製品や投資の決定を下すとみられ、ロビネット氏は「各社ともまずは4~6月期まで待ち、主要な投資判断や方向性の決定を行うだろう」と話した。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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