BYDの急速充電システム、5分で400キロの走行距離延長

中国のEV最大手比亜迪(BYD)は、ガソリン車の給油並みに短時間でEVを充電できる新しいメガワット充電システム「スーパーeプラットフォーム」を発表した。このシステムで中国全土に独自の充電ネットワークを構築する計画だという。

◇EVの普及促進に貢献

ロイターによると、EVに懐疑的なドライバーの多くは、長距離運転中に電池残量がなくなってしまう不安を抱えている。自動車メーカーはこうした懸念を払拭するため、急速充電技術や電池交換システムの開発に取り組んでいる。特に中国では急速充電技術を売りにする自動車メーカーが増えており、こうした技術は中国におけるEV普及の加速要因にもなっている。

BYDの「スーパーeプラットフォーム」は、最大出力1000キロワット(kW)の充電を実現し、走行距離にして400キロメートル分をわずか5分で充電できる。同社はこれを実現するために、充放電速度(Cレート)が10Cの電池、高出力モーター、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体、1000kW対応の急速充電器といった一連の技術を開発している。

これに対し、例えば同業のテスラは主に最大出力250kWの充電が可能な400ボルト(V)電圧システムを使っており、テスラでは唯一の電動ピックアップトラック「サイバートラック」(800Vアーキテクチャーで最大350kWに対応)と大型電動トラックのセミ(1000Vパワートレインを採用)が例外となっている。また、ジーリー(吉利汽車)傘下ジーカーの800Vプラットフォームは、容量75kWhの電池を10.5分で80%まで充電。理想汽車(Li Auto)や小鵬汽車(シャオペン)は10分で400km以上分の充電が可能な技術を発表している。

◇独自ネットワーク

BYDは現在、中国のEV市場シェアが3分の1を超える。BYD車両の所有者はこれまでは他メーカーの充電ネットワークや他社が運営する公共充電施設に依存していたが、同社は今回「スーパーeプラットフォーム」に対応するには独自の急速充電器が必要と考え、中国全土に4000カ所を超える充電ステーションを構築する計画を発表。発表イベントでは王伝福会長が外部投資家に充電網構築への支援を求めた。

BYDはこの分野では他社に遅れており、上海蔚来汽車(NIO)はすでに中国で約2700カ所の急速充電ステーションを運営しているほか、テスラも2014年から中国で充電ネットワークを構築し、現在では2000カ所を超えるステーションと1万1500基以上の「スーパーチャージャー」を展開している。また、理想は23年4月から1900カ所の高速充電ステーションを設置、ジーカーは26年までに2000カ所の超高速充電ステーション(計10万基の充電ポール)を建設予定で、華為技術(ファーウェイ)は最大600kWの液冷超急速充電器を展開して24年までに5万基以上を設置した。

一方、急速充電の普及は電力系統(グリッド)の大きな負担になるという懸念もある。急速充電施設の大規模展開にはインフラ強化と投資が不可欠だが、BYDはこの問題に対処するため、急速充電器にエネルギー貯蔵ユニットを搭載する予定だ。これでグリッドへの負担は軽減できるものの、設置コストが上昇する可能性がある。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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