イリノイ州議会、無人車導入に関する法整備に慎重姿勢 〜 説明責任と透明性に照準、全米の先例になる可能性

イリノイ州議会は3月末に、完全自動運転車(autonomous vehicle=AV)の導入に向けた慎重な規制枠組みの検討を開始した。

オート・コネクテッド・カー誌によると、同州議会は現在、クック郡をはじめとする特定地域を対象とした試験運用制度を立ち上げ、今後3年以内に州全域に完全AVを展開するための法整備に向けて審議中だ。

交通専門弁護士のエイミー・ウィザライト氏は、同州の慎重姿勢について、技術の急速な普及よりも市民の福祉を優先する「安全第一」の取り組みとして高く評価している。その背景には、グーグル傘下のウェイモ(Waymo)を筆頭とするAV大手らの車が警察の緊急職務や公共交通の妨げになっているという各地からの報告がある。

同州議会の審議のなかで引用された最新データによると、AVが銃乱射事件の現場で緊急対応のじゃまになったり、停車中のスクール・バスから学童らが降車している最中にそのすぐそばを走行したりといった技術的課題が浮き彫りになった。

ウィザライト氏は、シカゴ特有の運用上の障害として、厳しい冬の気象条件や過密した都市部の混雑、そして予想困難の道路工事を挙げ、標準的な仮想模擬化では訓練できない厳格な試験が必要だと指摘した。

現在の法規制案の焦点は、説明責任と透明性の確保だ。AV安全基準確立優先派は、人工知能代理人(AI agent)が制御する車両が公道を走る前に、専用の閉鎖道路での大規模検証を求めている。

イリノイ州の厳格な評価過程は、自律走行システムの安全性を担保するうえでの全国的な先例となる可能性がある。将来的に高度の意思決定を行う人工知能代理人の信頼性をいかに担保するかが、本格普及へのカギをにぎるとみられる。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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