分散型再生可能エネルギーのデータ・センター 〜POD活用で負荷を調整
- 2013年7月22日
- ハイテク情報
再生可能エネルギーで稼動する小型データ・センターを各地に分散して配置し、それらを専用通信網で接続することで大規模の演算力を達成する試みが追求されている。
同プロジェクトはもともと、再生可能エネルギーのデータ・センターの有効性を実証するために、ニューヨーク州エネルギー研究開発局とクラークソン大学、AMD、ヒューレット・パッカード(HP)、ゼネラル・エレクトリック(GE)といった企業が協力して、2012年に開始された。
グリーンビズ誌によると、最近になって、ロッキー・マウンテン研究所がクラークソン大学の研究者と協力するようになり、各地に分散したデータ・センターを通信網化するという構想が加わった。
パフォーマンス最適化データ・センター(performance-optimized data center)、略してPODを各地に配置し、光ファイバーで接続することによって、再生可能エネルギーの発電状況に応じてデータ・センターの負荷を調整するというのが、その基本概念だ。
この構想には、下記5つの利点がある。
1)分散する再生可能エネルギーを効率的に使用できるようになる。発電施設のそばにデータ・センターを配置することで、巨額の資金を投じて送電設備を整備する必要がなくなり、運営効率も向上する。
2)再生可能エネルギーの変動を効果的に管理できる。再生可能エネルギーの発電には変動がつきものだが、PODは演算負荷を柔軟に調節できるため、対応が可能だ。
3)需要応答(反応)としての柔軟性を実現する。PODを一般の送電網システムに接続すれば、送電網の負荷に応じた需要反応のための施設としても意味を持つようになる。それによって、従来の送電網の安定性も高める可能性がある。
4)マイクログリッドの確立に貢献する。広範な地域にわたる巨大な送電網ではなく、地域水準の小規模の送電網、すなわちマイクログリッドの利点が語られているが、それが確立されるには負荷管理の柔軟性が欠かせない。PODはまさにその要素をもたらすことができる。
5)発展途上国での潜在性がある。発展途上国ではディーゼル発電機が電力源として用いられていることが多いが、PODによって再生可能エネルギーに移行できる可能性がある。
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