武田、リスクの警告怠る〜アクトス訴訟で2度目の評決

 武田薬品工業が糖尿病治療薬「アクトス」にがんを引き起こす可能性があることを消費者に知らせなかったとして膀胱(ぼうこう)がんで死亡した男性の遺族から訴えられていた訴訟で、メリーランド州ボルティモアの州裁判所陪審は26日、訴えを認め、武田に170万ドルを超える損害賠償の支払いを命じる評決を下した。ただし、判事はメリーランド州法に従い、評決を即座に無効とした。

 ブルームバーグ・ニュースによると、陪審は25、26日に計6時間以上の協議を行い、ベトナム系移民で元米陸軍通訳のディプ・アンさんががんで死亡した責任は武田にあると判断した。しかし同時に、死因には男性が30年にわたって喫煙したことも含まれるという見方を示したため、判事は州法に基づいて評決を無効とした。

 国内の陪審がアクトスと膀胱がんの関連性を認めたのは、今回で2度目。カリフォルニア州では4月、陪審が武田に650万ドルの損害賠償支払いを命じたが、判事がこれを無効としたため、原告の遺族が控訴している。

 アクトスをめぐっては、武田薬品工業が糖尿病治療薬「アクトス」にがんを引き起こす可能性があることを消費者に知らせなかったとしてに3000件を超える訴訟が起こされており、今後4カ月の間にラスベガスとシカゴ両市の州裁判所や、ルイジアナ州の連邦裁判所で審理が予定されている。

 武田の米子会社のケン・グライスマン広報は、「当社は責任を持って行動したと確信しており、武田を支持した判事の判決に満足している」と語った。

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 日本では、何においても横並びが良しとされる。小学校への進学時の年齢は決まっているし、学校を...
  2. Water lily 今年は年頭から気にかかっている心配事があった。私は小心なうえに、何事も...
  3. 峡谷に位置するヴァウリアル滝の、春から夏にかけて豪快に水が流れ落ちる美しい光景は必見。島には約16...
  4. 2024年6月3日

    生成AI活用術
    2024年、生成AIのトレンドは? 2017年に発表された「Transformer」...
  5. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  6. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  7. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  8. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
ページ上部へ戻る