米国人のロボタクシー許容度は?~事故・違反増加で不信感も

ロボタクシー(自動運転タクシー)開発各社が事業を拡大する中、無人の車両による人身事故や交通法規違反が増えている。各社とも安全向上を約束しているものの不信感を抱く人も増えており、米国社会にどれだけロボタクシーが受け入れられるかは未知数だ。

◇AVには厳しい目

オートモーティブ・ニュースによると、米国では年間4万人超が交通事故で死亡しているが、自動運転車(AV)は人が運転する車よりも高い安全基準が求められる傾向にあり、過去にはウーバーやGM傘下クルーズが死亡事故を発端に自動運転プログラムを停止している。あるAV専門家は、人々はロボタクシーの事故を数字としてではなく道徳的・感情的に受け取るため、数字で安全性を主張するだけでは不十分と指摘する。

◇慎重な運行が最優先

ロボタクシー開発を主導するウェイモは、2026年1月23日にカリフォルニア州サンタモニカの小学校近くを走行していた同社の車両が、二重駐車したSUVの陰から飛び出した子どもをはねて軽傷を負わせた。運輸省道路交通安全局(NHTSA)が調査を開始している。

同社によると、車のシステムは子供が停止車両の後ろから現れた瞬間に検知し、時速17マイルから6マイルまで減速して衝突した。注意深い人間のドライバーでも衝突時は時速14マイルにしか落とせないだろうと分析し、自社のシステムの安全性を強調している。

アマゾンのAV開発部門ズークスの事故では、1月17日にサンフランシスコで駐車車両のドアが開いたところにロボタクシーが接触。地元報道によるとドライバーは手の痛みを訴えたが医療処置は受けていない。同社は「ドアの開放を認識して回避を試みたが接触は避けられなかった」と説明している。

AVの安全について研究するカーネギーメロン大学のフィリップ・クープマン教授は、たとえ過失の有無が争われる場合でも、こうした事故の一つひとつが公共の意見形成に影響すると見ている。ウェイモとズークスの事故では、危険度が高い状況を事前に予測し、衝突が避けられなくなる前に減速するなど、より慎重な運行が求められると指摘する。

◇期待値の調整も必要

米国人は依然としてAVには懐疑的で、10月のマリスト大学の調査では、56%が「ロボタクシーを利用する可能性は低い」と答えた。ただし、Z世代やミレニアル世代など若年層では「利用する」が過半数を占める。

AVを研究する法学者のブライアント・ウォーカー・スミス氏は、ロボタクシー事業者は反射的に安全記録を持ち出すよりも、改善すべき課題を正直に認める謙虚さを持つべきで、技術ではなく企業の正直さが重要と考えている。同氏は2月上旬の上院公聴会で、業界の監視強化、規制当局へのデータ報告の徹底、事故に関する「非公開の和解」の廃止を提案した。

ウェイモは自社技術の安全性を強調しており、人間のドライバーに比べて重傷・死亡事故は90%少なく、人身事故全体も81%少ないと主張する。加州陸運局(DMV)によると、2026年は2月10日現在で15件(ウェイモが12件、ズークスが3件)のロボタクシー事故が報告されており、2025年はニューロやテンサーなどの試験車両も含めて約140件が報告された。

エンジニアリング大手HTECの幹部クレイグ・メルローズ氏は「人間の過失は許容されるが、機械にはほぼ完璧であることが求められる。AVは二重の基準に直面しており、徐々に人々の期待値を現実的に調整する必要がある」と見ている。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
STS Career

注目の記事

  1. 植民地から合衆国建国へ 18世紀半ば、現在のアメリカ東海岸にはイギリスの支配下にある...
  2. 2025年12月1日

    就職&雇用ガイド2025
    監修 STS Career https://usfl.com/author/stscar...
  3. 2025年10月8日

    美しく生きる
    菊の花 ノートルダム清心学園元理事長である渡辺和子さんの言葉に、「どんな場所でも、美しく生...
  4. 2025年10月6日

    Japanese Sake
    日本の「伝統的酒造り」とは 2024年12月、ユネスコ政府間委員会第19回会合で、日...
  5. アメリカの医療・保険制度 アメリカの医療・保険制度は日本と大きく異なり、制度...
  6. 2025年6月4日

    ユーチューバー
    飛行機から見下ろしたテムズ川 誰でもギルティプレジャーがあるだろう。何か難しいこと、面倒なこ...
  7.        ジャズとグルメの町 ニューオーリンズ ルイジアナ州 ...
  8. 環境編 子どもが生きいきと暮らす海外生活のために 両親の海外駐在に伴って日本...
ページ上部へ戻る