米国のイメージ低下する恐れも〜通信傍受問題で英広告大手CEO

 最近の米国政府による通信傍受問題について、世界最大の広告代理店WPPの創業者が、米国のイメージや米広告業界に深刻な影響をもたらす恐れがあると警告している。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、英国系WPPのマーティン・ソレル最高経営責任者(CEO)は24日、前日ドイツ政府が発表した「米情報機関がメルケル独首相の携帯電話通話を盗聴していた可能性」に関してインタビューに答え、「アメリカというブランドにとって良くない」と述べた。

 メルケル首相は23日、電話盗聴問題についてオバマ大統領に説明を求め、大統領は「米国はドイツ首相の通信を傍受しておらず、今後も傍受することはないと保証する」と述べた。ソレル氏はこの感想として「事実かどうかはともかく、ドイツ首相が盗聴されるというのは心証が良くない。まるで(WPPと競合する仏広告大手)ピュブリシス・グループのモーリス・レヴィCEOが私に『君の電話は盗聴していないから』と念を押しているようなもので、これはかなり深刻な問題だ」と話した。

 ソレル氏はまた、最近の米国によるスパイ疑惑は、政治的または商業的な反響を呼ぶだけでなく広告業界にも影響し、データ使用に関する一般的な懸念を高めているという。広告業界は近年、データを分析して消費者がよく利用するサイトや購入習慣を調べ、広告の対象を絞り込むようになっているため、消費者データの重要度が高まっている。

 ソレル氏は「今回新しい問題が発覚したことで、プライバシー問題全体に対してさまざまな角度からの注目が高まる」と話した。

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