気候変動の責任を政府に問う〜オレゴンの10代、州を提訴

 オレゴン州に住む10代の若者が3年前、「将来の世代を気候変動から守っていない」として州を訴えた。一審では棄却されたものの、二審は「大気が公益信託の対象になり得るか下級審が審議せよ」と差し戻し、3月13日に再び審理が始まる。

 クリスチャン・サイエンス・モニターによると、訴えはユージーン市在住のケルシー・ジュリアナさん(18)とオリビア・チャーネクさん(14)が2012年、ジョン・キッツヘイバー州知事を相手に起こし、「州には大気を含む天然資源を公益信託として管理する法的な義務があり、温室効果ガスや気候変動の悪影響から守る義務がある」と訴えた。

 原告2人は、オレゴン州が8年前に州議会が定めた炭素排出量の削減目標を達成できていないことを問題視し、「気候変動の原因に迅速に対応していない。受託者としての義務を果たしておらず、公共信託法理に反する」と主張した。

 一審のレイン郡巡回裁判所は「これは政治的な問題で、温室効果ガスの削減計画を作成するよう州に命令する権限は裁判所にない」と訴えを棄却。しかし州控訴裁判所は、大気が公益信託にあたるかどうか判断するよう差し戻した。

 原告を支援する民間団体アワ・チルドレンズ・トラストのジュリア・オルソン代表は「政府は天然資源の受託者として炭素汚染や気候変動の影響から大気を守らなければならないのか、という問いに歴史的な判断が下る」と話し、審理の行方に注目している。ユージーン市のキティ・ピアシー市長も支援者の1人で、「彼らには心配する権利がある。あらゆるレベルの政府は子どもを守り、次世代が確実に生き残れるようにする義務がある」と述べた。

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